布引山地

布引山地（ぬのびきさんち）

概要

布引山地は、三重県の中央部を南北に走る山塊の総称です。亀山市から津市西部に位置し、標高700～800mの穏やかな山々が連なっています。東側は布引山地東縁断層帯を境に伊勢平野と接しており、西側は上野盆地と接しています。山地の最高峰は、南部に位置する大洞山（標高985m）です。北は鈴鹿山脈、南は高見山地に連なっています。

気候

布引山地は南北に長く、東西には盆地や平野が広がり、遮るものが少ないため、風が強く吹きやすい地形です。特に東西方向の風が強く、年間を通して強風が吹くことが特徴です。この特徴を利用した風力発電施設が青山高原にあります。

山地自体の標高は1000mに満たないものの、周辺地域の気候に与える影響は大きいです。布引山地は、上野盆地と伊勢平野を隔てる屏風のような役割を果たしており、伊勢湾から吹き込む湿った東風を直接受け止めるため、霧が発生しやすく、降水量も多いです。一方、山地の西側の上野盆地では、伊勢湾からの風が山を越えるため、降水量が少なく、乾燥した盆地性の気候となっています。

交通

布引山地は、東西に二つの国道が横断しています。主要な道路は、長野峠を越える国道163号と、青山峠を越える国道165号です。どちらの峠も標高400メートルを超えるため、年間を通して天候の急変、霧の発生、冬季の凍結や積雪に注意が必要です。また、国道25号も布引山地を通過していると見なすことができます。

鉄道では、近鉄大阪線が国道165号と並行するように、長大な新青山トンネルで山地を一気に貫通しています。

都市圏

布引山地は、都市圏の境界としても機能しています。青山峠より西側の伊賀地方は、歴史的、文化的に近畿地方との結びつきが強く、東側の伊勢地方は、東海地方との結びつきが強いという特徴があります。

このように、布引山地は地形、気候、交通、文化の面で重要な役割を果たしている山地です。

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