布袋町

概要

愛知県丹羽郡にかつて存在した町で、現在の江南市南部に位置します。正式な読み方は「ほていちょう」でした。この地域は、古くから交通の要衝として、また地域経済の中心地として重要な役割を担ってきました。

歴史

布袋町の歴史は古く、戦国時代にはこの地（現在の江南市小折町付近）に生駒屋敷がありました。この屋敷は、織田信長の側室であり、後に信長の後継者となる織田信忠やその弟である信雄、妹の徳姫（五徳）などを出産した生駒吉乃の居宅と伝えられています。吉乃と信長の出会いの場とも言われ、織田家との深い関わりを持つ地でした。

江戸時代には、布袋町の大部分が尾張藩の領地でした。明治時代に入ると、近代的な地方行政制度が整備される中で、布袋町は丹羽郡の中心地としての地位を確立していきます。丹羽郡役所をはじめとする様々な行政機関がこの地に置かれ、地域の行政機能が集約されました。現在でも、かつての布袋町域には、江南警察署（旧大字木賀、現在の江南市木賀町）や江南保健所（旧大字小折、現在の江南市布袋町）などが所在しており、当時の名残を見ることができます。一方、現在の江南市役所本庁は、旧古知野町域の江南駅近くに位置しており、旧布袋町域にはその支所である布袋支所が布袋ふれあい会館内に設置されています。

町の行政区画としての変遷は、明治初期の村合併から始まりました。1878年（明治11年）には、小折村が分かれて小折村と布袋野村が成立します。その後、1889年（明治22年）10月1日には、小折村、布袋野村、五明村、曾本村が合併して改めて小折村となりました。この小折村が、1894年（明治27年）11月26日に町制を施行し、布袋町と名を改めました。

さらなる領域の拡大は、1906年（明治39年）5月1日に行われます。この時、周辺の秋津村の一部（旧安良村、寄木村、東大海道村、力長村、今市場村の区域）と栄村の一部（旧木賀村、中奈良村の区域）が布袋町に編入されました。なお、この際に秋津村や栄村の他の区域は、古知野町などに編入され、後の江南市域を形成していくことになります。

交通網の整備も進み、1912年（大正元年）8月6日には名古屋鉄道犬山線が開業し、布袋駅が設置され、地域交通の要衝としての機能が高まりました。また、教育機関や医療機関の設置も進み、1922年（大正12年）3月24日には旧大字小折（現在の江南市北山町）に丹羽高等女学校（現在の愛知県立尾北高等学校）が開校しました。さらに、1935年（昭和10年）1月には、旧大字小折（現在の江南市布袋町）に愛北病院（現在の江南厚生病院の前身の一つ）が開院するなど、地域の中心としての機能が充実していきました。

布袋町としての歴史は、1954年（昭和29年）6月1日をもって閉じられます。この日、丹羽郡の布袋町と古知野町、そして葉栗郡の宮田町と草井村が合併し、新たな市である江南市が誕生しました。これにより、布袋町は廃止され、その区域は江南市の一部となりました。

現在の「江南市布袋町」という地名は、当時の布袋町の中心部を指しますが、成立の経緯は少し異なります。昭和後期まで、この地域は「布袋町大字小折」を経て「江南市大字小折」の一部でした。その後、大字小折の分割に伴う町名変更の際に、小折町や北山町などとともに新たに「布袋町」という町名がつけられました。

交通

町域には、名古屋鉄道犬山線が通り、布袋駅が設置されています。この駅は、現在も江南市の主要駅の一つとして機能しています。

教育

町内には、かつて布袋町立の小中学校が設置されていました。具体的には、布袋町立布袋中学校、布袋町立布袋小学校、布袋町立布袋北小学校がありました。これらの町立学校は、1954年の江南市発足後も、校名の変更なく「江南市立」として継承され、現在に至ります。また、県立の教育機関として、愛知県立尾北高等学校が所在しています。

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