帝国ファシスト連盟

帝国ファシスト連盟 (IFL) の歴史

帝国ファシスト連盟（The Imperial Fascist League, IFL）は、1929年にアーノルド・リースによって設立された、イギリスにおけるファシズム運動の一形態です。この団体は当初から小規模であり、構成員は数百名以下に過ぎなかったものの、武装闘争を掲げる「ファシスト部隊」（Fascist Legions）を含み、黒いシャツを着て活動しました。彼らはイタリアのムッソリーニの黒シャツ隊から影響を受け、そのシンボルとしてファスケスの使用を始めましたが、次第にナチズムとヒトラーに傾斜していきます。

ナチス・ドイツが政権を掌握した後は、イギリス国旗にハーケンクロイツを配するようになり、思想的にもナチスの影響を色濃く受けるようになりました。IFLは、イギリスの特性を加味したファシズムの確立を目指し、提唱する主張には議会制度の改編が含まれていました。具体的には、職能別代表による下院の設置、特に優れた人物による上院の設立など、協調組合主義の理念が根底にありました。

さらに、IFLの中心的な党是には反ユダヤ主義が強く位置付けられており、ユリウス・シュトライヒャーやウルリヒ・フライシュハウアーなど、ナチスの有力者たちとの接触がありました。アーノルド・リースは、同時期に存在した英国ファシスト連盟（BUF）を率いるオズワルド・モズレー卿に対し、ユダヤ人の支配下にあると非難し、BUFを皮肉って「the British Jewnion of Fascists」と呼ばせていました。

より著名な人物であるモズレー卿が率いるBUFの台頭により、IFLは党員数で苦戦を強いられます。BUFとIFLの間では、支持者同士の暴力行為も頻発し、両者は厳しい競争関係にありました。しかし、BUFの方が圧倒的な力を持つようになり、その影響力はIFLを凌ぐまでに至ったのです。

1939年に第二次世界大戦が勃発すると、両ファシスト団体は急速に衰退し、ほとんどのメンバーは活動を停止しました。1940年以降、防衛規則18Bによりリースは収監され、その後も政治活動は続けたものの、IFLは再結成されることはありませんでした。このように、IFLは短い生涯を持ちながら、激動の時代を象徴する存在として記憶されています。

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