帝国大学農科大学

帝国大学農科大学について

概要

帝国大学農科大学は、東京帝国大学の前身である帝国大学に設立された農学専門の教育機関です。その起源は1886年に設立された農商務省東京農林学校にさかのぼります。1890年、その後の歴史に大きな影響を与える請議文が閣議に提出され、農科大学の設置が提唱されました。この動きは、農商務省が高等教育機関を移管する必要性を感じていたと同時に、東京農林学校側も特に異存なく進められました。

一方で、帝国大学側ではこの合併に強い反発がありました。評議会の評議官たちが一斉に辞表を提出するほどの事態にまで発展しました。評議会がこの決定にかかわっていないこと、東京農林学校の学力基準が帝国大学の要求には満たないと判断されたことが背景にあります。さらに、農林学校の予科が高等中学校の課程よりも劣っているとの認識もありました。このような状況は問題視されましたが、最終的には大臣の介入によって収束し、1890年に農林学校は文部省へ移管され、帝国大学農科大学として再スタートを切ることとなりました。

学科と付属機関

帝国大学農科大学が設立された当初、農学、林学、獣医学の3つの学科が新たに設けられました。実務者育成を目的とした乙科は、「帝国大学実科」という名称で存続し、さらには付属の農業教員養成所や旧制中学校も設置されました。その後、帝国大学実科は農学部への改組とともに、東京高等農林学校に再編されることになり、また、農業教員養成所は独立した専門学校「東京農業教育専門学校」として発展しました。

影響を与えた関係人物

帝国大学農科大学には多くの著名な教授が歴任しました。初代学長を務めた松井直吉をはじめ、松野礀、石川千代松、松崎蔵之助などの教授が存在しました。彼らは、農科大学の学問的基盤を築く重要な役割を果たしました。同校の卒業生たちもまた、顕著な業績を残しています。例えば、本多静六や池野成一郎など、優れた卒業生たちが帝国大学の教授として後進の育成に寄与しました。

さらに、沖縄からの留学生である謝花昇や琉球砂糖の創業者神村吉郎など、様々な背景を持つ人物が活躍していました。彼らの活躍は、農学教育の国際的な広がりを象徴しています。

結び

帝国大学農科大学は日本の農学教育の発展に大いに寄与してきました。その設立過程や関係者の努力のもと、農学の学問的基盤が築かれていったことは重要な歴史と言えるでしょう。今後も多くの教育機関や学生がこの伝統を引き継ぎ、日本の農業の発展に貢献していくことが期待されます。

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