神村吉郎

神村吉郎（かみむら きちろう）

生涯

1867年4月9日（尚泰20年3月5日）、現在のうるま市にあたる具志川間切天願で、代々地頭代を務める神村家の長男として生まれました。1889年に沖縄県尋常師範学校を卒業後、帝国大学農科大学実科に進み、1892年に卒業しました。

初期のキャリアと実業家としての活動

1894年に沖縄県属に就任しますが、後に退官します。1898年には沖縄県農工銀行の創立委員となり、翌1899年の設立後には監査役に就任しました。同年、謝花昇らと共に沖縄倶楽部を結成し、自由民権運動にも参加しましたが、1900年には農工銀行の重役改選で取締役に選出され、支配者層の一員となりました。その後、具志川村会議員、沖縄県会議員、琉球砂糖株式会社の社長、沖縄毎日新聞社の理事、沖縄共立銀行の専務などを歴任し、実業家として多岐にわたる分野で活躍しました。また、中頭郡組合立農事試験場長として、果樹、園芸、畜産の経営にも携わりました。

政治家としての活動

1912年5月、沖縄県初の衆議院議員選挙（第11回総選挙）に立候補しますが、この時は落選しました。しかし、1924年5月の第15回衆議院議員総選挙で沖縄県第三区から出馬し、当選。念願の衆議院議員を1期務めました。

家族

神村家は、沖縄県具志川間切天願で代々続く家柄です。

祖父：孝慶（生没年不詳、享年77歳） - 豪農
父：孝吉（1830年 - 1890年） - 地頭代、孝慶の七男
弟：吉助（1881年 - 1958年） - 神村医院院長、沖縄県会議員
妻：ませい（1863年 - 1918年）
長男：孝太郎（1897年 - 1988年） - 琉球政府行政副主席、琉球電電公社初代総裁
孫：孝栄（1920年 - 没年不明） - 琉球放送報道局長
長女：政子 - 実業家・徳村太郎の妻

まとめ

神村吉郎は、政治家、実業家として沖縄の発展に貢献した人物です。教育者としての顔も持ち、幅広い分野で活躍しました。彼の足跡は、沖縄の近代史を語る上で欠かせない重要な存在です。彼の長男である神村孝太郎もまた、琉球政府の要職を歴任し、その功績は広く知られています。

参考文献

衆議院・参議院『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
沖縄大百科事典刊行事務局編『沖縄大百科事典』上巻、沖縄タイムス社、1983年。
楢原友満編『沖縄県人事録』沖縄県人事録編纂所、1916年。

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