帝国宝珠座

帝国宝珠座について

帝国宝珠座（ていこくほうじゅざ、ラテン語: Pōmum Imperiāle）は、ドイツの天文学者ゴットフリート・キルヒが1688年に発表した星座であり、神聖ローマ帝国の権威と皇帝レオポルト1世を称えるために設立されました。この星座の名は、帝権を象徴する宝珠を意味する「帝国宝珠」に由来します。キルヒは他にも数えきれないほどの星座を設計しましたが、これらは普遍的に認知されているものではありません。

帝国宝珠座の概要

帝国宝珠座は、神聖ローマ帝国の皇帝の威光を象徴するもので、特にキルヒが称賛するレオポルト1世と深い関わりがあります。この星座は、のちにわし座、いるか座、みずがめ座の境界近くに設定され、星図ではわし座のくちばしの先端に位置するアンティノウスが右手で宝珠を捧げ持つ姿で描かれています。星座はその名のとおり、帝国宝珠を象ったデザインで構成されています。

構成する星々

帝国宝珠座は、7つの星から成り立っています。それぞれの星には、重なりを避けるために「L-E-O-P-U-L-D」というローマ字の大文字の符号が与えられています。具体的には以下のように分類されています：

• - L星（後）：みずがめ座5番星（6等星）
• - E星：みずがめ座3番星（5等星）
• - O星：わし座70番星（5等星）
• - P星：わし座69番星（5等星）
• - U星：わし座HD 193329（6等星）
• - L星（前）：わし座71番星（4等星、首星）
• - D星：みずがめ座1番星（5等星）

歴史的背景

キルヒが帝国宝珠座を創設した当時、ポーランドの天文学者ヨハネス・ヘヴェリウスは別の星座を作成しており、アンティノウスの持つ弓矢として描写されていました。また、イギリスの天文学者ジョン・ベヴィスも、「アンティノウスの弓矢」として注目しました。このように、多くの天文学者が異なる星座に関連する研究を行っていました。帝国宝珠座における十字架の部分は、後にアメリカの天文学者アレクサンダー・ジェイミソンによって、ナイルの水位計座（Norma Nilotica）として再設定されます。

参考文献

帝国宝珠座についての詳細な情報や歴史的背景は、以下の文献を参照することで得られます：

• - Archival Facsimiles Limited (facs.), John Bevis Atlas Celeste, Alburgh, 1987.
• - Brown, B., Astronomical Atlases, Maps & Charts: An Historical & General Guide, (rep.), London, 1968.
• - Lovi, G., Tirion, W., Men, Monsters and the Modern Universe, Richmond, 1989.
• - Warner, D. J., Sky Explored: Celestial Cartography 1500-1800, New York, 1979.

このように、帝国宝珠座は単なる星座以上のもの。歴史的背景を含め、多くの文化や学問の交差点としての意義を持っています。

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