帰ってきた旋風児

『帰ってきた旋風児』（かえってきたマイトガイ）は、1962年10月5日に封切られた日本映画です。日活によって製作された本作は、小林旭が主演を務める人気シリーズ『旋風児』の第五作にあたります。監督はシリーズ作品も手掛ける野口博志、原作は川内康範、脚本は織田清司が担当しました。

概要

物語は、主人公である実業家・二階堂卓也（小林旭）が、自身の新作発表会を間近に控えたある日、横浜港で発生した衝撃的な事件に遭遇するところから幕を開けます。そこで彼は、日本人ファッションモデルの遺体を発見してしまうのです。

この事件の捜査が進むにつれて、単なる殺人事件ではない、より大きな闇の存在が浮上してきます。遺体が、香港を拠点とする巨大な売春シンジケートと深く関わっていることが明らかになるのです。

正義感が強く、持ち前の行動力を持つ二階堂卓也は、この危険な組織の陰謀を食い止めるべく、事件の真相究明に乗り出します。横浜から香港へと舞台を移しながら、国際的な犯罪ネットワークの深部へと迫り、命がけの闘いを繰り広げます。

キャスト

主演の小林旭が、クールでタフなヒーロー、二階堂卓也を魅力的に演じています。共演には、松原智恵子がヒロインの花村京子として登場。また、藤村有弘が政吉役でコミカルな一面を担い、物語に彩りを加えています。

事件に関わる重要人物としては、芦田伸介が中村捜査課長として捜査を指揮し、高品格が香港の犯罪組織の一員である香港の秀を演じ、作品に緊張感をもたらしています。その他、事件を追う荒木記者に青山恭二、謎を秘めた女性・村瀬安子に上月左知子などが配され、多層的な人間ドラマが展開されます。

本作には、当時の日活作品を支えた多くの俳優が出演しています。堂本を雪丘恵介、第三かもめ丸船長を土方弘、森口を宮原徳平が演じるなど、ベテラン俳優が脇を固めます。また、香港の秀の子分として近江大介、沢田裕、杉浦公司をはじめ、多くの役者が登場し、組織の規模感を表現しています。

さらに、多岐にわたる端役やノンクレジット出演者も作品世界を構築しています。税関の男、さくら丸船員、第三かもめ丸船員といった港湾関係者から、東都タイムスデスクや多数の新聞記者、新作発表会の司会者や観客、そして事件の鍵となる香港の日本人コールガールたち（家根谷美代子、武内悦子、水森久美子）まで、様々な立場の人物が登場します。

ノンクレジットの出演者も多数おり、エレベーターの男や羽田空港の女、刑事、入国管理官、そして多くの野次馬や警官などが、リアリティのある場面を作り上げています。これは当時の日本映画製作における層の厚さを示すものでしょう。

スタッフ

製作スタッフは、監督の野口博志、脚本の織田清司、企画の茂木了次といった布陣です。音楽は鏑木創が担当し、スリリングな展開を盛り上げます。原作はシリーズの生みの親である川内康範によるものです。

また、アクションシーンの迫力を生み出す技斗は高瀬将敏が、劇中の振付は灰原明彦が担当しており、エンターテイメント作品としての完成度を高めています。

『帰ってきた旋風児』は、サスペンスフルなミステリー要素と、主人公・二階堂卓也の活躍を描くアクションが見事に融合した作品です。国際的な犯罪組織というスケールの大きな敵に立ち向かうヒーローの姿は、当時の観客を熱狂させました。シリーズ中の一編として、小林旭演じるマイトガイの魅力を再確認できる一作と言えるでしょう。

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