帳場

帳場（ちょうば）とは

帳場とは、主に商店、旅館、料理店などにおいて、金銭の収受や帳簿の記入、顧客対応などが行われる場所を指します。現代のホテルにおけるフロントや、店舗のカウンターに相当する機能を果たしていました。

構造と機能

帳場は通常、顧客が訪れやすい店舗や旅館の玄関付近に設けられていました。古い形式では、三方を「結界」と呼ばれる二つ折りまたは三つ折りの細かい帳場格子（竪格子、衝立格子）で囲み、外部からの視線を遮りつつ、内部で店主や番頭が帳簿付けなどの事務作業に集中できる空間を作り出していました。この格子は、防犯上の意味合いも持っていたと考えられます。

旅館業法における帳場

旅館業法においては、すべての宿泊施設に帳場の設置が義務付けられているわけではありません。旅館業法第7号において「その他都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること」と規定されており、具体的な要件は各自治体の条例に委ねられています。多くの自治体では、条例によって帳場の設置を義務付けていますが、近年、民泊サービスの普及などを背景に、法改正が進められています。

旅館業法改正と帳場の変化

2016年4月1日に施行された改正旅館業法では、一定の条件下で帳場の設置が不要となる場合があります。具体的には、「玄関帳場などに代替する機能を有する設備を設けることその他善良の風俗の保持を図るための措置が講じられていること」という条件を満たせば、帳場の設置を省略できるとされています。しかし、帳場を完全に不要とするためには、各自治体の条例改正が必要となります。

大阪市では、2016年9月に市議会に提出された旅館業法施行条例改正案において、客室延べ面積が33㎡未満の簡易宿所について、玄関帳場を設置しない場合でも旅館業法の営業許可を認める方針が示されました。ただし、帳場を設置しない場合には、旅館業法に基づく構造基準5項目、および旅館業法に基づかない措置基準6項目の、合計11項目の要件を満たす必要があります。

このように、帳場は単なる会計の場としてだけでなく、顧客との接点、従業員の事務空間、そして施設のセキュリティを担う重要な場所として、長い歴史の中でその役割を果たしてきました。近年の法改正や技術革新により、その形態は変化しつつありますが、宿泊施設や商業施設における重要な機能は、形を変えながらも継承されていくと考えられます。

関連情報

カウンター (インテリア))
キャッシュレジスター
* 厚生労働省 - 旅館業法概要

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