簡易宿所

簡易宿所について

簡易宿所（かんいしゅくしょ）とは、日本における宿泊施設の一種であり、旅館業法の規定に基づいて運営される施設です。この宿泊形態は、旅館業法における「簡易宿所営業」と定義されており、多人数で共有する構造のもと、宿泊料金を受け取って宿泊者を受け入れるサービスを提供します。簡易宿所は、主に日雇い労働者やバックパッカー等、さまざまな宿泊者が利用する施設として根付いています。

簡易宿所営業の特徴

簡易宿所営業の特徴は、客室数に制限がないこと、玄関帳場の設置が不要であること、そして、建物の延床面積が33㎡以上であることが求められる点です。1998年には67,891件の旅館営業許可が存在したものの、その件数は減少の一途をたどり、2014年には41,899件にまで落ち込みました。一方で、簡易宿所は2005年ごろまで減少したものの、その後は微増を続け、2014年には26,349件に達しました。

また、客室数が4部屋以下の施設や階層式寝台を設置した宿泊所は簡易宿所に該当し、スポーツ合宿所やカプセル[[ホテル]]もこのカテゴリーに含まれます。最近では、民泊法の施行に伴い、最大180日間の期間で民泊営業を行う代わりに、簡易宿所としての認可を取得する動きも見られます。

構造設備の基準

簡易宿所には、いくつかの構造設備の基準が設けられています。これには次のような要件があります。

• - 客室の延床面積：33㎡以上
• - 階層式寝台がある場合、上下段の間におおむね1メートル以上の距離を確保すること
• - 適切な換気や照明、防湿、排水設備が必要
• - 宿泊者の需要を満たす入浴設備と洗面設備を整える必要がある
• - 適当な数の便所を設置しなければならない

木賃宿とドヤ街

簡易宿所の一形態として「木賃宿」があります。これは通常とても安価に宿泊できる民間の宿泊施設であり、特に日雇い労働者が利用することが多いです。木賃宿は、素泊まりが基本で、宿泊費の支払いは前払いが原則です。

こういった宿泊施設が多く存在する地域を「ドヤ街」と呼び、多くは日雇い労働者が集まる場所です。戦後から高度経済成長期にかけて、ドヤ街は形成され、労働者の需要を受けて栄えました。しかし、1990年代に入り、機械化の進展により労働者需要が減少し、それに伴い地域の構成にも変化が見られるようになりました。

施設の変化

時代と共に簡易宿所やドヤ街では、宿泊施設の改装が進んでいます。一般の旅館と見分けがつかないような6畳間やカプセル[[ホテル]]タイプも増えてきました。これにより、外国からの観光客にも利用されるようになり、経済的な宿泊先としての役割が果たされています。特に、火災の発生を受けて消防法の適用が厳格化されるなど、安全基準の向上が求められるようになりました。

簡易宿所は、今後も多様な宿泊者のニーズに応える場として、その存在感を増していくことでしょう。

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