常盤橋タワー

常盤橋タワーは、東京都千代田区大手町二丁目に位置する超高層建築物です。このタワーは、「東京駅前常盤橋プロジェクト（大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業）」の一環として建設されました。この再開発プロジェクトは、東京駅日本橋口前の広大なエリアを対象としており、常盤橋タワーはその最初の竣工物件です。

再開発計画は、三菱地所が中心となって進められ、街区全体の名称を「TOKYO TORCH」、そして最初に完成したA棟を「常盤橋タワー」と命名しました。2021年6月に竣工した常盤橋タワーは、以前この場所に存在した大和呉服橋ビル（1956年竣工）とJXビル（1970年竣工）の2棟を取り壊し、新たに建設されたものです。地上高は約212m、地上38階、地下5階建てであり、完成時点では大手町地区で最も高いビルとなりました。このタワーの足元には、広場空間「TOKYO TORCH park」と「TOKYO TORCH Terrace」が整備され、周辺環境との調和も図られています。

常盤橋タワーのデザインは、歴史と現代性を融合させた点が特徴です。メインエントランスには巨大なピロティ空間が設けられ、店舗共用部やオフィスロビーへのアクセスをスムーズにしています。内部には、かつてこの地にあった常盤橋の石積みやアーチ、常盤橋門のゲート性、そして日本橋川沿いの緑といった要素がデザインに取り入れられました。高層部の外観は、格子状の外皮で覆われており、この地がかつて鉄を扱う企業が集積していたという歴史的背景を、金属感のある格子で表現しています。また、オフィスフロアは、樹脂製のインナーサッシカバーを採用することで、結露量を約50%削減しています。さらに、DHC機械室や発電機室、特高電気室といった重要設備機械室を4階から7階に設けることで、水害に対するBCP（事業継続計画）機能を強化しています。

街区中央に位置するTOKYO TORCH parkは、一般に開放された空間で、日本橋川沿いの親水空間や国指定遺跡「常盤橋門跡」の一部を残す常盤橋公園と連携し、街を繋ぐ役割を担っています。低層部の飲食店舗にはテラスや回遊動線が設けられ、広場と一体的に利用されることで、賑わいを創出しています。

将来的には、常盤橋タワーに隣接して、日本一の高さを誇る約385mの「Torch Tower（トーチタワー）」が2027年に開業する予定です。これにより、このエリアはさらに魅力的な都市空間として発展することが期待されています。また、再開発計画に伴い、地下に設置されていた大型駐車場「日本パーキングセンター」は、2016年3月末に営業を休止し、改修後に営業を再開する予定です。

常盤橋タワーには、竣工当初からクラレ東京本社、古河電気工業本社、古河機械金属の本社・グループ企業などが入居しています。また、2022年には東京海上ホールディングスと傘下の東京海上日動・東京海上日動あんしん生命が本社ビルの建て替えに伴い、一時的に本社機能を移転しました。

年表

2017年6月: 大和呉服橋ビルの解体工事が開始。
2017年: JXビルの解体工事が開始。
2018年1月: JXビルの解体が完了。東京駅前常盤橋プロジェクトA棟の建設工事が着工。
2020年9月17日: 再開発地区の名称が「TOKYO TORCH」、A棟・B棟の正式名称がそれぞれ「常盤橋タワー」「Torch Tower」に決定。
* 2021年6月30日: 常盤橋タワーが竣工。

常盤橋タワーは、周辺地域との連携を重視し、歴史的要素を取り入れつつ、最新の技術とデザインを融合させた、象徴的な建築物と言えるでしょう。

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