古河機械金属

古河機械金属株式会社

古河機械金属株式会社（FURUKAWA CO.,LTD.）は、東京都千代田区に本社を置く、非鉄金属および産業機械の大手メーカーです。その歴史は古く、1875年（明治8年）に古河市兵衛によって創業された古河鉱業をルーツとしています。

歴史

創業当初は鉱山開発を中心に事業を展開し、足尾銅山の開発は日本の銅産出量トップにまで成長しました。その後、事業の多角化を進め、古河電気工業、富士電機、富士通など、現在では日本の主要企業となった多くの企業を分社・独立させてきました。これらの企業は「古河グループ（古河三水会）」として知られ、古河機械金属はその中核企業の一つです。

創業と鉱山開発

1875年、古河市兵衛が草倉銅山の経営を開始したことが、古河機械金属の始まりです。1877年には足尾銅山の開発に着手し、これが日本の銅産業を牽引する原動力となりました。足尾銅山の発展は古河財閥の基礎を築き、その後、電線製造、電気機器製造、通信機器製造へと事業領域を拡大していくことになります。

事業の多角化と財閥の形成

古河潤吉、古河虎之助といった歴代社長の下、足尾銅山を基盤に事業の近代化と多角化が進められました。鉱山開発で培われた技術は、電線製造（古河電工）、電気機器製造（富士電機）、通信機器製造（富士通）へと発展し、これら企業はそれぞれ独立しながらも古河グループとして連携を保っています。この過程で、古河グループは日本の産業発展に大きく貢献しました。

戦後の再出発

第二次世界大戦後、古河財閥は解体され、古河鉱業も再出発を余儀なくされました。しかし、1989年には社名を「古河機械金属」に変更し、鉱業から機械メーカーへと転換を遂げました。石炭事業からの撤退や足尾銅山の閉山といった困難を乗り越え、現在では土木鉱山用機械のトップメーカーとして広く知られています。

事業持株会社体制への移行

2005年には、事業持株会社体制へと移行し、古河機械金属を中心に多数の子会社・関連会社で構成されるグループ経営体制を確立しました。これにより、各事業部門の専門性を高め、より効率的な経営を目指しています。現在、同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、その事業は多岐にわたります。

事業概要

古河機械金属は、土木鉱山用機械、金属製錬、電子化成品など、多岐にわたる事業を展開しています。特に、トンネル掘削用の削岩機「トンネルドリルジャンボ」や、車両搭載型クレーン「ユニック」は、国内で高いシェアを誇っています。また、高純度金属ヒ素は、世界的なシェアを占める主要製品です。

機械セグメント

機械セグメントでは、土木・鉱山機械、産業機械、クレーンなどを製造・販売しています。これらの製品は、建設現場や鉱山などで幅広く利用されています。

産業機械：環境機械、ポンプ、プラント、破砕機、鋼橋梁など
ロックドリル：ブレーカ、圧砕機、クローラドリル、トンネルドリルジャンボなど
ユニック：車両搭載型クレーン、自動車搬送用キャリアなど

金属セグメント

金属セグメントでは、銅、金、銀、硫酸などを製造・販売しています。これらの製品は、電気機器や電子部品の材料として使用されています。

電子化成品セグメント

電子化成品セグメントでは、高純度金属ヒ素、結晶製品などの電子材料、酸化チタン、亜酸化銅などの化成品を製造・販売しています。これらの製品は、電子デバイスや化学製品の材料として使用されています。

不動産セグメント

不動産セグメントでは、オフィスビルなどの不動産の売買、仲介、賃貸を行っています。特に、東京日本橋の室町古河三井ビルディングは、同社の不動産事業の中核となっています。

主要製品とマーケットシェア

古河機械金属の主要製品は、国内市場で高いシェアを誇っています。特に、トンネルドリルジャンボは国内シェア90%を占め、日本のトンネル工事に欠かせない存在です。また、高純度金属ヒ素は、携帯電話やDVDのレーザーダイオードに使用され、世界シェア60%を占めています。

トンネルドリルジャンボ：国内シェア90%
高純度金属ヒ素：世界シェア60%（国内シェア75%）
アモルファスダストコア：世界シェア90%（国内シェア70%）

その他にも、様々な製品で国内市場で高いシェアを有しています。

環境への取り組み

古河機械金属は、足尾鉱毒事件の加害企業としての歴史を持ちますが、近年では環境保全技術の開発や自然再生事業に積極的に取り組んでいます。環境と調和した社会の発展を目指し、企業理念にも「共存」を掲げています。

企業理念

古河機械金属は、以下の3つの理念を掲げています。

変革：未来に向けた意識改革により絶えざる自己革新を行う。
創造：顧客のニーズに応え、信頼される魅力的な製品を創造する。
共存：経営の透明性を高め、環境と調和した社会の発展に貢献する。

主要な事業所

本社：東京都千代田区大手町
支社：大阪、仙台
支店：札幌、名古屋、福岡
技術研究所：茨城県つくば市
素材総合研究所：茨城県つくば市
足尾事業所：栃木県日光市

古河グループとの関係

古河機械金属は、古河グループの中核企業として、他のグループ企業と密接な関係を築いています。古河グループは、金属、機械、電気、化学など、多岐にわたる分野の企業で構成されており、日本経済の発展に大きく貢献しています。

グループ企業

古河電気工業：電線、ケーブル製造
富士電機：電気機器、制御機器製造
富士通：情報通信機器製造
横浜ゴム：タイヤ、ゴム製品製造
ADEKA：化学製品製造
日本ゼオン：合成ゴム、化成品製造
日本軽金属ホールディングス：アルミニウム製造
朝日生命保険：生命保険業
みずほ銀行：銀行業

まとめ

古河機械金属は、鉱山開発から始まり、日本の産業発展を支えてきた歴史のある企業です。現在では、土木鉱山用機械、金属製錬、電子化成品など、多岐にわたる事業を展開し、国内外で高いシェアを誇っています。また、環境保全にも積極的に取り組み、持続可能な社会の実現を目指しています。古河グループの中核企業として、これからも社会の発展に貢献していくことが期待されます。

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