常西合口用水

常西合口用水について

常西合口用水（じょうさいごうくちようすい）は、富山県富山市を流れる重要な用水路です。常願寺川の左岸、つまり西側を並走しており、その延長は約13kmに及びます。この用水路は、単に農業用水を提供するだけでなく、発電や富山市の水道水源としても活用されており、その多目的な役割から「疎水百選」にも選定されています。

歴史的背景

常西合口用水の建設は、常願寺川の度重なる氾濫を抑制し、富山平野の農業を振興するという二つの大きな目的を持って始まりました。1893年（明治26年）、オランダ人技師ヨハニス・デ・レーケの指導の下、この大規模な灌漑用水路が完成しました。完成当時、灌漑面積は3,300ヘクタールにも及び、地域農業の発展に大きく貢献しました。

現在の利用状況

現在、常西合口用水は農業用水としての役割に加え、発電にも利用されています。北陸電力上滝発電所の取水口から水を取り入れ、大川寺公園のある丘陵地下をトンネルで抜け、富山地方鉄道上滝線の大川寺駅脇で再び地上に現れます。その後、富山県道15号線の下を通り、常願寺川および富山県道174号線と並走します。用水路の途中には、用水開削を記念した水神社が祀られています。

大川寺駅前には水神社が鎮座し、用水路沿いには桜並木が美しい常西用水プロムナード（常西公園）や、殿様林緑地公園、富山霊園・西の番霊園といった施設が整備されています。また、常願寺川第二・第三発電所もこの用水路を利用しています。

常西用水土地改良区で用水は二手に分かれ、一方は常願寺川へと戻り、もう一方は流杉浄水場を経て富山市街を流れる赤江川に注ぎます。特筆すべきは、常西用水プロムナードにあるマイクロ水力発電所です。この水車による発電は、富山市がエネルギー効率改善都市に選定されるきっかけの一つとなりました。

まとめ

常西合口用水は、その歴史的価値だけでなく、現在も農業、発電、水道水源と多岐にわたる役割を果たしており、地域社会にとって非常に重要なインフラです。美しい自然と歴史が調和したこの用水路は、訪れる人々に安らぎと恵みを与え続けています。

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