常陸岩英太郎

常陸岩 英太郎の業績と生涯

常陸岩 英太郎（ひたちいわ えいたろう）は、1900年3月9日に生まれ、1957年7月21日に亡くなった、日本の大相撲界で著名な力士です。本名は櫻井 英太郎（さくらい えいたろう）で、出羽海部屋に所属していました。彼の最高位は東大関であり、その名は相撲ファンに長く記憶されています。

幼少期と入門

常陸岩は現在の東京都中央区日本橋で知られる天ぷら店「なかや」の次男として生を受けました。小学校卒業後は酒問屋で修行をしながら、相撲の道に進むことを決意しました。好角家の医師に導かれ、1917年1月の場所で初土俵を踏みました。

力士としての成長

彼の身体はあんこ型の短躯ながら、均整の取れた体格を持ち、鋭い出足と巨腹を利用した吊りや寄りが得意でした。スローながら着実に力をつけていき、1922年5月には新十両に昇進しました。この直後、出羽ノ海部屋の親方が亡くなり、彼は最後の関取となりました。

1923年5月には新入幕を果たし、才能を発揮する場面が次々と現れました。特に、1927年5月の場所では見事に大関へ昇進を果たしました。その後、同年10月の場所では競う相手である能代潟錦作に黒星をつけ、幕内最高優勝へと道を繋げました。

不戦勝と優勝騒動

1928年1月の場所では、常陸岩は不戦勝が引き金となり、優勝争いにおいて異議が生じました。この場所で常陸岩は6日目に敗北しながらも、その後の不戦勝で順位を上げ、他の力士と同点となった際に、規約に基づいて優勝が決定されました。この決定は、当時の相撲界に波紋を呼び起こしました。

不戦勝という制度が未だ整備されていなかったため、彼は三杦磯のファンから非難され、多くの批判に晒されました。その後、優勝受賞時に彼は三杦磯へ譲りたいと述べたというエピソードが残っています。最終的には優勝の栄誉が与えられ、彼の元には天皇賜杯が渡されました。

後半生と引退

優勝後、常陸岩は横綱昇進の期待に応えたものの、糖尿病が彼の健康を蝕み、1929年の場所には全休。1931年には玉錦との入れ替わる形で相撲の世界を引退しました。引退後は年寄・境川を名乗り、出羽海部屋で後進の指導に力を注ぎました。新聞に相撲評を連載するなど、相撲界に深く関与していきました。

1957年7月21日、常陸岩は狭心症により57歳でこの世を去りました。彼の遺した業績や影響は、今もなお多くの相撲ファンに語り継がれています。

主な業績

• - 通算成績：190勝93敗3分3預47休（勝率0.671）
• - 幕内成績：147勝74敗3分3預44休（勝率0.665）
• - 大関成績：87勝53敗1分35休（勝率0.621）
• - 現役在位：37場所
• - 幕内在位：25場所
• - 大関在位：16場所

他には、1928年1月場所における幕内最高優勝と1923年1月場所の十両優勝があります。常陸岩の生涯は、勇敢な力士としての道のりと共に、数々のドラマを内包しています。

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