平井卯輔

平井卯輔

平井 卯輔（ひらい うすけ、1890年（明治23年）6月10日 - 1962年（昭和37年）7月27日）は、大日本帝国陸軍に所属した軍人です。最終的な階級は陸軍少将でした。

生涯

1890年（明治23年）6月10日に山口県で生を受けました。陸軍の道を志し、陸軍士官学校の第25期生として学びました。

軍歴

士官学校卒業後、順調に昇進を重ねました。1939年（昭和14年）3月9日には陸軍騎兵大佐に進級し、同時に熊本連隊区司令官の職務に就任します。この職務は、管轄地域における兵員補充や在郷軍人に関する行政などを司る重要なものでした。

1940年（昭和15年）8月、平井大佐は捜索第56連隊長に転任します。この連隊は西部軍隷下の第56師団に属しており、その後の太平洋戦争において南方作戦の一環であるビルマ侵攻作戦に投入されることになります。

ビルマ戦線での活躍

平井大佐率いる捜索第56連隊は、ビルマ侵攻作戦に参加し、1942年（昭和17年）3月24日にビルマの主要港湾都市であるラングーンに上陸しました。上陸後、連隊は第56師団の先遣部隊として、困難な地形と敵の抵抗の中を急速に進撃を開始します。

その進撃は目覚ましく、3月30日にはトングー、4月11日にはパサウン、そして4月29日には戦略上の要衝であったラシオを次々と攻略しました。さらに5月4日には、ほとんど戦闘を経ることなくバーモを占領するという特筆すべき戦果を挙げています。

この一連の作戦期間中、捜索第56連隊はラングーン上陸からわずか70日間という短期間で、約1700キロメートルにも及ぶ長距離を踏破しました。その迅速かつ果敢な進撃による各地の占領、特に無血でのバーモ占領は、第56師団の作戦遂行に大きく貢献する顕著な功績と認められました。その功績に対し、部隊は第15軍司令官から感状を授与されています。これは当時の日本軍によるビルマにおける作戦の中でも、特に迅速な進撃の一つとして記憶されるべきものです。

ビルマ戦線での任務を終えた後、平井大佐は一時、留守第56師団司令部附となりました。

戦争末期の職務

1943年（昭和18年）12月、平井大佐は戦車第4旅団長へと異動します。この戦車旅団は関東軍隷下の第1方面軍、さらに戦車第2師団に属しており、満州方面における対ソ警戒や訓練などを主な任務としていたと考えられます。

1944年（昭和19年）3月1日、平井大佐は陸軍少将に進級しました。その後、4月13日には第86師団司令部附となり、5月10日には再び国内に戻り、重要な首都圏の兵務行政を担う東京連隊区司令官に任命されました。この職務は、終戦が近づくにつれて、本土防衛体制の強化や兵員・物資の動員・管理といった点でますます重要性を増していきました。

終戦間際となる1945年（昭和20年）3月31日には、東京地区司令部附となり、本土決戦が現実味を帯びる中での首都圏防衛に関する職務に携わったと考えられます。そして終戦直前の1945年（昭和20年）7月1日には、東京師管区兵務部長に就任し、混乱する戦時下の兵務行政の責任者として日本の敗戦と終戦を迎えました。

戦後

第二次世界大戦終結後、連合国軍占領下の日本では、旧軍関係者に対する公職追放が行われました。平井少将もその対象となり、1947年（昭和22年）11月28日には公職追放仮指定を受けました。

平井卯輔少将は、戦前・戦中にかけて陸軍軍人として勤務し、特に太平洋戦争におけるビルマ戦線では、捜索連隊長として迅速な進撃を指揮し、顕著な功績を挙げた人物としてその名を残しています。戦後は混乱期を過ごし、1962年（昭和37年）に72歳でその生涯を閉じました。

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参考文献

新人物往来社戦史室 編『日本陸軍兵科連隊』
福川秀樹 編著『日本陸軍将官辞典』
* 外山操 編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』

以上が、陸軍少将平井卯輔の経歴の概要です。

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