東京師管区

東京師管区（とうきょうしかんく）

東京師管区は、第二次世界大戦末期の1945年4月1日、日本陸軍によって設置された行政区分の一つです。この師管区は、主として徴兵や部隊への補充といった軍事行政、そして管轄区域の地域防衛を任務としていました。

その管轄範囲は関東地方の南部、具体的には現在の東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、そして山梨県の広範な地域に及びました。旧来の「師管」が名称変更されたものであり、その区域は前身である東京師管と変わりありませんでした。東京師管区は、東部軍管区の下位組織として位置づけられ、同じく東部軍管区に属する宇都宮師管区や長野師管区と並列の関係にありました。

管轄区域内はさらに複数の行政単位に細分化されており、東京連隊区、浦和連隊区、千葉連隊区、横浜連隊区、甲府連隊区といった連隊区が設けられていました。

師管区の業務は東京師管区司令部によって総括され、実働部隊として東京師管区部隊が組織されました。東京師管区司令部の前身は、東京師管を管轄していた留守近衛第2師団の司令部が改称されたものです。これに伴い、留守師団が保持していた補充隊は一旦廃止され、師管区部隊として新たな補充隊が編成されるという形態がとられました。

東京師管区の防衛担当区域には一部例外が存在しました。管轄範囲に含まれる東京都の小笠原諸島（小笠原島）は、その防衛担当から除外されていました。一方で、本来の管轄区域外である静岡県の富士川以東の地域については、その防衛を担任するという特例がありました。

終戦が迫る中、東京師管区の管轄区域である関東地方南部は、連合国軍の本土上陸に備えた本土決戦の最重要拠点の一つとなりました。この地域には、本土決戦を担う第12方面軍の戦力が多数集中しており、沿岸部での迎撃準備が進められていました。

首都東京の防衛も、東京師管区の重要な任務でした。皇居の警備は別に近衛第1師団が担当していましたが、東京師管区司令部は、配下の師管区部隊に加え、3個の警備旅団を指揮して首都防衛の一翼を担いました。1945年6月25日には、首都防衛を主任務とする東京防衛軍が新設され、これらの警備旅団はその指揮下に移されました。しかしながら、東京防衛軍司令官は東京師管区司令官が兼任するなど、両司令部の要員の多くが職務を兼ねていたため、組織変更による実質的な影響は限定的でした。

終戦後も東京師管区はしばらく存続しましたが、翌1946年3月31日に廃止され、その役割を終えました。

師管区部隊（終戦時）
東京師管区司令部（東京）
東京師管区歩兵第1補充隊（溝ノ口）
東京師管区歩兵第2補充隊（柏）
東京師管区歩兵第3補充隊（東京）
東京師管区歩兵第4補充隊（甲府）
東京師管区歩兵第5補充隊（佐倉）
東京師管区砲兵補充隊（東京）
東京師管区工兵補充隊（柏）
東京師管区通信補充隊（東京）
東京師管区輜重兵補充隊（東京）

主な司令官等
師管区司令官
寺倉 正三 予備役陸軍中将：1945年4月 - 1945年7月5日
飯村 穣 陸軍中将：1945年7月5日 - 1945年8月20日（東京防衛軍司令官を兼務）
師管区参謀長
鵜飼 仁 大佐：1945年4月1日 -
師管区兵務部長
長岡 寿吉 予備役陸軍少将：1945年3月31日 -
平井 卯輔 陸軍少将：1945年7月1日 -

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