平射砲

平射砲 (へいしゃほう)

平射砲は、砲弾が低い弾道で飛翔し、目標を直接攻撃する特性を持つ大砲です。これは、曲射砲のように放物線軌道を描くことなく、直線的な射角で高初速を実現することが特徴です。そのため、平射砲は動いている目標を狙いやすく、着弾までの時間が短い利点がありますが、一方で遮蔽物の背後にいる敵目標を攻撃できないという欠点も存在します。

日本における平射砲の歴史

第一次世界大戦の影響で戦術が塹壕戦に移行した際、歩兵による直接攻撃を可能にする火砲が求められました。これを受けて、日本軍でも軽火砲が必要とされ、平射砲が早期に開発されました。特に陣地に直撃させるための歩兵砲の必要性が高まり、その流れに乗って日本陸軍も歩兵砲の設計を行いました。

大正5年（1916年）には、37mm口径の砲を機関銃破壊用に開発し、1920年には「十一年式平射歩兵砲」が試作されました。これにより小型の直接照準射撃が可能となり、部隊の攻撃力を高めることが期待されました。この斬新な設計の砲は、装填後に自動的に閉鎖し、発射後は自動的に開放して弾を排出する半自動的な機構を持っていました。

11年式平射歩兵砲の特徴

十一年式平射歩兵砲は、主に37mmの口径を持ち、装甲車両や機関銃座への攻撃を目的としました。弾薬には九四式徹甲弾や九四式榴弾が使用され、装甲貫通力が高められましたが、軽量化が施されたため耐久性には限界があり、発射薬の量によって初速が制約されることもありました。

この砲は、特に1932年の第一次上海事変で迫撃砲と協力して歩兵支援を行い、狭い陣地戦でその能力を発揮しました。戦後の日本陸軍でも、対装甲車両としての役割を果たし、早期の対[[戦車砲]]として機能しました。

平射砲の展開とその後

戦車の装甲が強化されるにつれて、平射砲の必要性は徐々に減少していきましたが、当初の大きな需要のためには大量に生産され続けました。1939年には、既に新型の九二式歩兵砲が採用された後でも、現役の部隊に配備されていることがありました。また、太平洋戦争に突入する際にも、十一年式平射歩兵砲を装備している部隊が存在し、約20年間にわたり使用されることとなります。

その後、平射砲は自衛隊においても、軽量な無反動砲やミサイルへと置き換えられました。これにより、平射砲の役割は次第に歴史的なものとなっていきました。

平射砲に分類される火砲の種類

• - カノン砲
• - 平射歩兵砲
• - 戦車砲
• - 対[[戦車砲]]

参考文献

1. 佐山二郎『日本陸軍の火砲 高射砲』光人社、2010年。
2. 佐山二郎『日本陸軍の火砲 歩兵砲 対[[戦車砲]] 他』光人社、2011年。
3. 大砲と装甲の研究 - ウェイバックマシン

平射砲は、日本軍の火砲の歴史において重要な役割を果たし、技術革新と戦術の変化を反映した火器の一つです。

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