平岡裕治

平岡裕治（ひらおか ゆうじ）は、1939年11月22日に鹿児島県で生まれ、2023年11月6日に83歳で亡くなった、日本の元航空自衛官です。第24代航空幕僚長を務めました。

人物像

平岡空将は、「薩摩隼人」のイメージを体現したような人物として知られています。部下からは、まるで維新の志士ではなく、藩主・島津斉彬に仕えているような感覚を抱かせたといいます。TBSドラマ「空飛ぶ広報室」に登場する浅野航空幕僚長のモデルではないかとも言われています。1998年の長野オリンピック開会式でのブルーインパルスの展示飛行に関する特集番組には、本人が出演しました。

また、「航空自衛隊で最もダンディな将官」とも呼ばれていました。航空幕僚監部監理部総務課長時代には、陸海担当者との協議で、「制服は官給品」という原則を覆し、隊員が自費で購入できるジャンパーとセーターの簡易服を制定しました。

ダンディズムが発揮されたエピソードとして、第1航空団司令兼浜松基地司令時代に、基地の門に立つ警衛隊員と食堂の調理員の服装を変更したことが挙げられます。この変更は、航空幕僚監部監理部の「試行」という承認を得て、警備の管理隊と食堂の業務隊で検討されました。業務隊は、浜松市内のレストランを巡り、シェフのユニフォームを参考に、納入業者を決定しました。一方、管理隊は制服への装着品を変更することしかできませんでした。しかし、当時の警備小隊長が型にはまらない発想の持ち主であったため、ベレー帽と白の帯革、アメリカ軍式の腕章を左腕に装着することに決定しました。平岡基地司令自身も、若い頃に西ドイツ留学中にベレー帽を愛用していたことから、自ら被り方を指導し、朝夕の通門時には整列している警衛隊員に「お前が一番似合っている」と声をかけるなど、定着に協力しました。また、食堂では、部外者との会食の際に、一流レストランのように調理長を紹介する習慣を作りました。

南西混成団司令に就任した際には、沖縄では島津による侵攻と支配の歴史から、鹿児島県出身者では上手くいかないのではないかと懸念されましたが、持ち前の人間的魅力で多大な実績を上げました。特に在任中に発生した第三次台湾海峡危機では、鹿児島県人らしく泰然自若として指揮を執りました。

略歴

1964年（昭和39年）3月：防衛大学校卒業（第8期）、航空自衛隊入隊
1975年（昭和50年）7月：3等空佐
1979年（昭和54年）1月：2等空佐
1983年（昭和58年）
7月1日：1等空佐
8月1日：航空自衛隊第3補給処企画課長
1985年（昭和60年）8月1日：航空幕僚監部防衛部防衛課業務計画班長
1987年（昭和62年）3月16日：第3航空団基地業務群司令
1988年（昭和63年）3月16日：航空幕僚監部監理部総務課広報室長
1989年（平成元年）
3月16日：航空幕僚監部監理部総務課長
6月30日：空将補に昇任
1991年（平成03年）3月20日：航空自衛隊補給本部幹事
1992年（平成04年）6月16日：第1航空団司令兼浜松基地司令
1993年（平成05年）7月1日：統合幕僚会議事務局第1幕僚室長
1994年（平成06年）7月1日：空将に昇任、南西航空混成団司令
1996年（平成08年）3月25日：航空幕僚副長
1997年（平成09年）12月8日：第24代航空幕僚長に就任
1999年（平成11年）7月9日：退官
2012年（平成24年）4月29日：瑞宝重光章
2023年（令和05年）11月6日：逝去（83歳没）。叙・正四位。

栄典

レジオン・オブ・メリット・オフィサー - 1995年（平成7年）10月18日
レジオン・オブ・メリット・コマンダー - 1999年（平成11年）2月16日
瑞宝重光章 - 2012年（平成24年）4月29日

平岡裕治は、その類まれなリーダーシップと人間的魅力により、多くの人々に影響を与えた人物でした。

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