平忠常

平忠常について

平忠常（たいら の ただつね）は、平安時代中期に活躍した武将であり豪族です。彼は陸奥介、平忠頼の子供として生まれ、房総平氏の祖とされています。母方の祖父は著名な平将門であり、これが彼の血筋の重要な部分を形成しています。

家系と背景

忠常の祖父である平良文は、武蔵国村岡に定住して村岡五郎と呼ばれていました。彼は下総国相馬郡の広範な土地を所有し、地域の有力な武士として名を馳せました。忠常はこの家系の利権を引き継ぎ、地域の支配者として成長しました。彼は常陸国、上総国、下総の広大な所領を有し、上総介や武蔵押領使に任官されたとされていますが、その任官が正式ではないという説もあります。

また、彼は京に上り、藤原教通に仕えていた形跡があり、これが彼の社会的地位を高める要因ともなりました。忠常はその強大な武力を背景に傍若無人とも言える振る舞いをし、国司の命令に逆らったり、租税を納めないこともありました。このような行動が彼の名声を高める一方で、敵を増やすことにも繋がりました。

主要な出来事

約1008年頃、忠常は常陸介源頼信の支配下にあったものの、同時に家人としての誓約を行いました。しかし、彼はそれに満足せず、長和5年（1016年）以前から左衛門大夫惟基との間で利権を巡る抗争を繰り広げていました。忠常は惟基を「先祖の敵」と見なしており、しばしば対立が激化しました。

長元元年（1028年）6月には、安房国の国府を襲撃し、安房守・平維忠を焼き殺すという事件を引き起こしました。この動きは受領との対立が悪化した結果と考えられています。この襲撃を受け、朝廷は忠常を追討する命令を出し、平直方が追討使に任命されました。この頃から、忠常は房総三国を舞台に合戦を展開し、官軍と長期にわたる戦闘を繰り広げました。この乱を「平忠常の乱」と呼び、その結果、地域の人々は深刻な疲弊に直面しました。

そして、長元3年（1030年）9月には平直方が解任され、甲斐守・源頼信が新たな追討使に任じられました。忠常の軍が疲弊しきった中、長元4年（1031年）春に忠常は出家し常安と名乗り、頼信のもとへ出頭して降伏しました。この降伏は忠常の過去の行動から見ると意外とも言えますが、実際に彼が頼信の家人であったことが影響を与えたとされています。

その後、忠常は京へ連行され、美濃国野上で病に倒れ、入京の途上で命を落としました。彼の首は切り落とされ、京でさらし者にされたものの、後に親族に返還されました。彼の子供たちである常将と常近も罪を許されることとなりました。

忠常の影響

平忠常の乱は、彼自身の一族と平繁盛、さらにその子孫との権力争いが背景にあります。特に、常陸平氏と都の平貞盛流との連携が、この乱を引き起こした要因にもなったと考えられています。忠常の子孫は房総半島で影響力のある武士として存続し、後には鎌倉幕府の御家人として上総氏や千葉氏に発展します。

このように、平忠常はその波乱に満ちた生涯を通して、後世に多大な影響を残しました。

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