平成18年台風第21号

平成18年台風第21号について

平成18年台風第21号、アジア名「ドリアン（Durian）」は2006年11月に形成され、フィリピンやベトナムに甚大な影響を与えました。この台風は特に、2006年8月に発生したマヨン山の噴火と相まって、フィリピンにおいて特有のラハール（火山泥流）が発生する原因ともなりました。

台風の発生と経過

この台風は2006年11月26日にフィリピン東方で発生し、タイが命名した「ドリアン」という名前は、果物のドリアンから来ています。フィリピン気象機関（PAGASA）では「レミング」と名付けられました。台風は西進し、27日にヤップ島に接近。その後、急速に発達し、29日には中心気圧が60hPa低下し、非常に強い勢力に成長しました。

30日の午前にフィリピンのルソン島に上陸し、南部を横断。その後、南シナ海を経てベトナム南部に再上陸し、タイランド湾で消滅しました。

被害の状況

台風がもたらした影響はフィリピンに特に深刻でした。同年8月のマヨン山の噴火による火山堆積物が、台風によって降った雨で泥流に変わり、ルソン島の集落や農地に襲いかかる結果となりました。その影響で死者は620人、行方不明者は710人、倒壊家屋は約9000戸という重い被害が発生しました。また、台風接近のため風雨が強まった30日の午前、6時間で400mmを超える豪雨が降り、広範囲にわたって泥流災害が引き起こされました。

フィリピン全体の人的被害としては734人が死亡し、762人が行方不明、さらに同様に762人が負傷。被災者数は353万6342人に達し、経済的な損失は約1億900万ドルとされています。

ベトナムでも被害は避けられず、死者85人、行方不明者10人、負傷者1360人の報告があり、被害を受けた家屋は12万件にも上りました。ベトナム南部では、台風の影響を受けて経済的被害が約4億5600万ドルに達しました。

名称の変更

この台風のアジア名「ドリアン」は、この事例以降は使用されないことになります。次の台風からは「マンクット（Mangkhut）」が命名されますが、こちらも使用が中止され、最終的には「クラトーン（Krathon）」が用いられることとなりました。また、フィリピン名の「レミング」も同様に使用されなくなり、代わりに「ルビー（Ruby）」が用いられることになりますが、これも後に使用中止となり、「ロジータ（Rosita）」に変わります。最終的には「ロサール（Rosal）」が新たな名称として使用されることになります。

終わりに

この台風は、自然災害が人々の生活に及ぼす影響を改めて思い知らされる事例でした。自然の脅威に対しての備えと理解が求められる今、過去の教訓を活かして未来に生かすことが大切です。

もう一度検索