平成24年台風第16号

平成24年台風第16号（サンバ）

平成24年台風第16号は、2012年9月11日に発生し、アジアにおいては「サンバ」と名付けられた台風です。この名前は、2006年にリタイアした台風1号「チャンチー」に代わって初めて使用されました。サンバという名前は、マカオの著名な名所である聖ポール天主堂跡から名付けられています。

進路と状態の経過

台風は9月9日にパラオの西方で形成が始まり、翌10日の早朝には熱帯低気圧に成長しました。この時、合同台風警報センターは熱帯低気圧の発生に関する注意情報を発表しました。台風は9月11日午前9時にカロリン諸島の北緯9度25分、東経134度00分で台風に発達し、北西から北へと進行。

9月14日には中心付近の気圧が900ヘクトパスカルに達し、最大風速は55メートル、最大瞬間風速は80メートルに達する非常に強い台風となりました。沖縄気象台は最大瞬間風速70メートル、最大風速50メートルを予想し、先の台風15号と同様に「最大級の警戒」を呼びかけました。台風は日本に近づくにつれて少し勢力を弱めましたが、依然として大型で非常に強い状態を維持していました。

台風は15日夜に沖縄本島の一部を暴風域に巻き込み、16日の朝に中心が沖縄本島を通過しました。その後、鹿児島県、熊本県、長崎県などを暴風域に巻き込みながら九州の西の海上を北上し、17日午前11時半頃に韓国の慶尚南道南海郡に上陸し、同日夜には日本海へ抜けました。最後には、18日午前9時に温帯低気圧へと変わりました。

気象状況や影響

台風の影響により、沖縄地方から近畿地方の太平洋側では大雨が観測されました。特に、沖縄県の国頭村では1時間雨量86mm、岐阜県の揖斐川町では78.5mmの降水量が記録されました。また、24時間雨量では、高知県のいの町で468.5mmが降り、室戸市では459mmとなりました。これに伴い、超過した日最大風速も観測され、与論島では42.1m/sを記録し、多くの地点で観測史上の最高記録を更新しました。

加えて、台風の影響で高い潮位が観測されたため、沖縄や九州地方で過去の観測を上回る潮位が記録され、浸水被害も発生しました。具体的には、佐賀県太良町で360cm、熊本県宇城市で293cmが観測されています。

フィリピンでは、南レイテ州で釣りに出ていた70歳の男性が死亡し、マニラのいくつかの地区では浸水が発生し、約400人が避難を余儀なくされました。日本では沖縄・九州で台風接近に備え、多くの交通機関が欠航し、様々なイベントが中止や延期される影響が出ました。

特に鹿児島や長崎では、冠水や浸水があり、床下浸水の件数は鹿児島で54棟、長崎で73棟と報告されています。また、沖縄県では床上浸水が145件、床下浸水が406件に達し、断水や停電も広範囲で生じました。

韓国でも同様に台風の影響があり、大韓民国では洪水警報が発令されるなどして、多くの住民が避難を余儀無くされ、数十万の家庭が停電する事態に至りました。

このように、平成24年台風第16号（サンバ）は、周辺地域に深刻な影響を与え、多くの人々の生活に被害を及ぼしました。

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