平成25年台風第26号

2013年台風26号による関東地方への甚大な被害

2013年10月、台風26号（アジア名：ウィパー、フィリピン名：ティーノ）が関東地方に接近し、未曽有の被害をもたらしました。特に、伊豆諸島・伊豆大島では記録的な豪雨により大規模な土石流が発生し、甚大な人的被害と住宅被害を引き起こしました。この災害は「伊豆大島土砂災害」とも呼ばれ、日本に大きな衝撃を与えました。

台風の進路と勢力

台風26号は10月11日にマリアナ諸島付近で発生し、勢力を増しながら北西に進みました。15日には気象庁から関東地方への接近・上陸に際し、「10年に一度の強い勢力」との警戒呼びかけが出されました。大型で強い勢力を維持したまま伊豆諸島北部を通過し、房総半島東岸をかすめ、三陸沖で温帯低気圧に変わりました。しかし、その影響は北海道まで及びました。

記録的な豪雨と暴風

台風26号に伴う大雨は関東地方に甚大な被害をもたらしました。東京都、千葉県、茨城県では14地点で観測史上最大の24時間降水量を記録しました。特に伊豆大島では、北東から南西に伸びる線状降水帯が停滞した影響で、16日未明から1時間に100ミリを超える猛烈な雨が数時間降り続き、24時間雨量が800ミリを超える記録的な大雨となりました。この大雨は、関東平野と房総半島から流れ込む冷たい空気と、台風北側から流れ込む温かく湿った空気がぶつかり合ったことで発生した前線（降水帯）が原因でした。

同時に、猛烈な暴風も観測されました。北海道襟裳岬では最大瞬間風速46.9m/s、千葉県銚子市では46.1m/sを記録するなど、各地で暴風による被害も発生しました。

伊豆大島における土石流災害

伊豆大島では、記録的な豪雨により外輪山中腹が幅約950mにわたって崩落し、大規模な土石流が発生しました。土石流は西側の沢を流れ下り、元町神達地区や元町三丁目などの集落を飲み込みました。この土石流により、36人が死亡、22人が重軽傷を負い、3人が行方不明（2014年1月15日現在）という、痛ましい結果となりました。

その他の被害

伊豆大島以外の地域でも、土砂崩れや崖崩れが各地で発生しました。千葉県成田市では土砂崩れにより1人が死亡しました。また、高波による水難事故も発生し、犠牲者が出ました。さらに、強風や高波の影響により、交通機関にも大きな影響が出ました。鉄道では多くの路線で運休や遅延が発生し、航空機も多数欠航しました。道路も通行止めが相次ぎました。

災害への対応

政府は、伊豆大島町、千葉県茂原市、茨城県行方市に被災者生活再建支援法を適用し、東京都は伊豆大島町に対し、災害援護資金の貸付を実施しました。消防、警察、海上保安庁、自衛隊などが捜索救助活動や災害警備活動にあたり、国土交通省も支援を行いました。

まとめ

2013年台風26号は、関東地方に記録的な大雨と暴風をもたらし、特に伊豆大島では未曽有の土石流災害が発生しました。多くの犠牲者が出たこの災害は、日本の防災対策の見直しを促す契機となりました。この台風は、気象状況の把握、防災意識の向上、災害対応体制の強化の重要性を改めて示したと言えるでしょう。また、土砂災害の危険性が高い地域での土地利用や防災対策の重要性も浮き彫りにしました。 この災害からの教訓を活かし、今後の防災対策に役立てることが重要です。

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