平成30年台風第20号

平成30年台風第20号（シマロン）の詳細

2018年8月18日に発生した台風20号は、アジア名「シマロン（Cimaron）」と命名されました。これはフィリピンの言葉で「野生の牛」を意味します。台風20号は、1951年の統計開始以降、1971年に次いで2番目に早く発生した台風です。

台風の発生と発達

8月16日21時、マーシャル諸島近海で熱帯低気圧が発生しました。合同台風警報センター（JTWC）は17日14時30分に熱帯低気圧形成警報を発し、18日6時には熱帯低気圧番号23Wを付番しました。その後、23Wは18日21時にトラック諸島近海で台風となり、「シマロン」と命名されました。

台風は発達を続け、20日9時には暴風域を伴うようになり、21日15時には「強い」勢力に、22日12時には「非常に強い」勢力にまで成長しました。

台風の進路と上陸

台風はその後、四国地方を暴風域に巻き込みながら北上し、強い勢力を保ったまま23日21時頃に徳島県南部に上陸しました。さらに、24日0時前には兵庫県姫路市付近に再上陸し、日本海に抜けました。24日15時には秋田沖で温帯低気圧に変わりました。

被害状況

台風20号は、各地に大きな被害をもたらしました。

人的被害：総務省消防庁によると、兵庫県や滋賀県など7府県で13人が負傷しました。
住宅被害：和歌山県や福井県など5府県で、床上・床下浸水や一部損壊が合わせて12棟に及びました。
風力発電施設の倒壊：兵庫県淡路島の北淡震災記念公園では、高さ約37メートルの風力発電用風車が根元から倒壊しました。
突風による被害：静岡県浜松市では突風が発生し、住宅の屋根瓦が飛ぶなどの被害が発生しました。静岡地方気象台は、台風の影響による竜巻注意情報を発表しました。
高波による海難事故：静岡県では、台風による高波の影響で大学生4人が海に流され、後に遺体で発見されました。
神社への被害：京都市東山区の大将軍神社では、境内のモチノキが倒れ、拝殿を直撃して倒壊しました。
温泉施設の被害：和歌山県田辺市の川湯温泉では、床上浸水22戸、床下浸水2戸の被害を受け、全宿泊施設が休業となりました。
レジャー施設の被害：大阪府岬町のみさき公園では、レジャープール施設の設備が突風で損傷し、復旧されずにそのまま営業が中止されました。

交通機関への影響

交通機関にも大きな影響が出ました。

鉄道：JR西日本では、山陽新幹線や特急列車が運休となり、京阪神地区の在来線も運行本数が減らされました。近畿日本鉄道も大阪、奈良、京都発着の特急の運転を取りやめました。
航空：ANAとJALの2社で、羽田や伊丹発着の便を中心に国内線270便が欠航し、約3万人に影響が出ました。

イベントへの影響

各地で開催予定だったイベントも相次いで中止となりました。

ライブイベント：近畿地方を中心に行われる予定であったライブイベントが中止されました。
モータースポーツイベント：三重県鈴鹿サーキットの『鈴鹿10時間耐久レース』と『鈴鹿モータースポーツフェスティバル』が中止になりました。
花火大会: 神奈川県相模原市の「相模原納涼花火大会」は、上流ダムの放水による水位上昇のため中止となりました。

関連事項

平成30年台風第21号：同年9月には、同様の進路で関西国際空港などに大規模な被害をもたらした台風21号が発生しました。

台風20号は、発生から上陸、そして温帯低気圧に変わるまで、各地に大きな爪痕を残しました。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。

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