平桟橋

平桟橋（たいらさんばし）

舞鶴港に位置する平桟橋は、戦後の引揚者たちにとって、祖国への第一歩となる重要な場所でした。特に、中国やソ連からの帰還者にとって、平桟橋は長年の苦難を終え、待ち望んだ故郷の地を踏む場所であり、その光景は多くの人々の記憶に深く刻まれています。

歴史

太平洋戦争終結後、海外には660万人以上の日本人が残され、その引揚げのために舞鶴港を含む全国9港が指定されました。当初、舞鶴西港が引揚港として使用されていましたが、1947年（昭和22年）にソ連地域からの引揚げが開始されると、舞鶴東港の平桟橋がその役割を担うこととなりました。

その後13年間、平桟橋は多くの引揚者を迎え入れ、彼らの新たな生活の出発点となりました。この桟橋は、単なる港湾施設ではなく、多くの人々の希望と帰郷への思いが込められた場所でした。

1994年（平成6年）には、平桟橋は復元され、記念碑が建立されました。これにより、引揚げの歴史を後世に伝えるとともに、平和の尊さを改めて認識する場となっています。また、引揚援護局の敷地は、現在では工業団地として利用されていますが、その南側の道路が平桟橋へのアクセスルートとして残されています。

桟橋から川を挟んだ南側の丘には、引揚げの記録を展示する舞鶴引揚記念館があります。この記念館では、当時の引揚の様子や人々の苦労、そして故郷への熱い思いを学ぶことができます。平桟橋と舞鶴引揚記念館は、引揚の歴史を伝える上で重要な役割を果たしています。

アクセス

鉄道・バス

JR東舞鶴駅から京都交通の路線バス（三浜線または田井・野原線）に乗車し、約15分。「中田」バス停で下車後、徒歩約10分です。

車

舞鶴若狭自動車道 舞鶴東インターチェンジから、京都府道28号小倉西舞鶴線、(京都府道51号舞鶴和知線)、国道27号を経由し、京都府道・福井県道21号舞鶴野原港高浜線を大浦半島方面へ約20分です。

関連施設

舞鶴引揚記念館：引揚の歴史を伝える記念館。
平工業団地：引揚援護局の跡地に作られた工業団地。
* 引揚を記念する舞鶴全国友の会：引揚者の交流と歴史継承を目的とした団体。

平桟橋は、単なる歴史的建造物ではなく、平和への願いと、人々が困難な状況を乗り越えてきた証として、今もなお、その存在意義を静かに語りかけています。

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