平沢長吉

平沢長吉：激動の時代を駆け抜けた秋田の先覚者

平沢長吉（ひらさわ ちょうきち）は、明治26年（1893年）に秋田県で生まれ、昭和35年（1960年）に生涯を閉じた人物です。彼は、実業家、政治家として、大正から昭和にかけての激動の時代に多岐にわたる分野で活躍しました。

生い立ちと初期のキャリア

平沢は、秋田県南秋田郡土崎港町（現在の秋田市土崎港中央）で、平沢喜一郎の長男として生を受けました。大正4年（1915年）には東京帝国大学農科大学実科を卒業し、学問の道を修めました。

大学卒業後、彼は家業である木材業に携わることになります。出羽林業を設立し、取締役に就任するなど、経営者としての手腕を発揮しました。また、土崎木材商業組合長、秋田県木材業統制組合理事長、秋田県森林組合連合会副会長、秋田県木材業林産組合長、秋田合同運送社長、三協木材社長、東北興業監事など、数々の要職を歴任し、業界の発展に大きく貢献しました。

政界への進出

平沢の活動は、経済界だけに留まりませんでした。彼は、土崎港町会議員を皮切りに、秋田市会議員、秋田県会議員、同参事会員、そして秋田県議会議長を歴任するなど、地方政治の世界でも存在感を示しました。

昭和22年（1947年）4月、平沢は第23回衆議院議員総選挙に秋田県第1区から秋田県民主党公認で出馬し、見事初当選を果たします。その後、昭和27年（1952年）10月の第25回総選挙まで連続3期にわたり衆議院議員を務めました。国政においては、第3次吉田内閣で厚生政務次官を務めたほか、民主自由党総務、自由党総務、同秋田県支部長などを歴任し、党運営にも深く関与しました。

しかし、順風満帆とはいかず、第26回、第27回総選挙では落選を経験しました。

その後

落選後も、平沢は政界との関わりを絶つことはありませんでした。自由民主党秋田県連名誉会長に就任し、県政界の長老として、後進の育成に尽力しました。

平沢長吉は、木材業という地域に根ざした産業を基盤に、地方政治から国政へと活躍の場を広げた人物です。彼の足跡は、地方の発展と国政への貢献という、二つの側面から評価されるべきでしょう。明治、大正、昭和という激動の時代を生き抜き、秋田県の発展に尽力した平沢長吉の功績は、今もなお、多くの人々に語り継がれています。

参考文献

帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第14版 北海道・奥羽・関東・中部篇』帝国秘密探偵社、1943年。
衆議院・参議院『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
『秋田人名大事典（第二版）』秋田魁新報社、2000年。
『国政選挙総覧 1947-2016』日外アソシエーツ、2017年。

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