平王 (楚)

平王の生涯

平王（へいおう）は、春秋時代の中国において楚の王として知られる人物であり、その本名は弃疾。彼は共王の五男で、康王、霊王、訾敖、子皙の兄弟として生まれました。平王は、兄霊王の命令を受けて国内での戦闘に従事し、特に陳や蔡を滅ぼした実績があります。霊王に仕えながら、その軍事的な才能を発揮し、国に貢献しました。

軍人としての公子時代

彼は兄の霊王のもとで、特に重要な役割を果たし、兄弟の中でも際立った存在でした。平王は、霊王が外征に出ている間に、国内の不満が高まっていることを感じ取ります。そして公子比と公子黒肱が帰国した際、彼らは霊王の不在を狙い、太子禄を暗殺するという大事件へと発展します。霊王がいない隙を突いて、楚王として即位した訾敖のもとで、平王は司馬として新たな役割を担いました。この時期、彼は計略を練り、霊王の復帰を阻止するための巧妙な策略を巡らせ、それが成功します。

即位とその後の治世

平王は霊王不在の隙をついて権力を掌握し、翌日に即位を果たしました。即位後の平王は、改革を試みる一方で、後の混乱を予感させる人間関係に悩まされます。彼は太子建の妃を秦から迎えるため、少傅の費無忌を派遣しましたが、これが思わぬ波紋を呼ぶことになります。費無忌は平王に対し、秦の公女を娶ることを勧めました。平王は彼女の美しさに魅了され、結局、公女を自らの側室としてしまいました。

この行為は、太子建との関係を悪化させることになり、平王は費無忌の讒言から太子建を城父に隔離しました。この陰謀の中で、平王は太傅伍奢にまで監督責任を問い、最終的には伍奢を捕え、その家族をも処刑しようとしました。しかし、伍子胥は逃げ延び、反逆を果たすことになります。これが後に平王の権威を大きく損なう原因となり、呉による侵攻を許す結果となりました。

最期と影響

平王はその治世の晩年、健康を害し、平王13年（紀元前516年）、病没します。彼の死後、昭王の時代に起こった柏挙の戦いでは、伍子胥が平王の遺体を暴いて300回も鞭打ったとされ、これが「死人に鞭打つ」という表現の起源とも言われています。

家族と後継

平王の家族には、父共王や兄弟の康王、霊王、訾敖、子皙がいます。また、子供には公子申（子西）、太子建、公子結（子期）、公子啓、そして昭王（熊珍）などが名を連ねています。彼らの行動と選択が楚の未来に大きな影響を与えたことは言うまでもありません。

平王の物語は、権力の移り変わりや裏切り、そして家族内の争いが織りなす波乱の歴史を教えてくれます。彼の治世の出来事は、楚の国の運命だけでなく、中国全体の歴史に対しても重要な教訓を残しました。

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