平胸類

平胸類についての詳細

平胸類（へいきょうるい）とは、現存する鳥類の中で最も古い系統に属する大型の地上生鳥類のグループです。科学的には「Ratitae」と呼ばれ、草原や森林に生息し、地面で生活することに特化しています。このグループには、一般的に知られるダチョウやキーウィなどが含まれます。

特徴

平胸類は飛翔能力がなく、そのための特性として胸骨に竜骨突起を持たないことが挙げられます。竜骨突起は飛んでいる鳥に見られる特徴であり、飛翔筋が付着する部分です。平胸類は大きな体を持ちつつも、この構造の欠如によって飛ぶことはできません。そのため、平胸類という名前は、この特異な胸の構造に由来しています。たとえば、彼らの羽根は左右対称ではあるものの、飛ぶための形状には適していません。

分布

平胸類は主に南半球に広がっており、特にアフリカ、南アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの地域で見ることができます。具体的には、ダチョウはアフリカに、レアは南アメリカに、ヒクイドリはオーストラリアやニューギニアに、キーウィはニュージーランドに分布しています。

系統

平胸類の系統に関しては、これまでさまざまな説が存在しました。従来の主流な考えでは、平胸類は古顎類の一部であるシギダチョウ科と密接に関連しているとされてきました。シギダチョウ科も地上性の鳥類ですが、同時に飛ぶ能力も持ち合わせています。これに対し平胸類は、進化の過程で竜骨突起を失ったと考えられています。

しかし、近年の遺伝学や分子系統解析による研究により、平胸類は実は多系統であることが明らかになってきました。これはつまり、平胸類の進化の中で、竜骨突起の喪失が複数回にわたって独立に起こった可能性があることを示唆しています。特に、Harshman et al. (2008) の研究では、平胸類の起源に関する新たな理解が得られ、ダチョウ科が平胸類の中で最初に分岐したことが確認されました。

分類

平胸類は以下の4つの科に分類されています。

1. キーウィ科 (Apterygidae): ニュージーランドに生息し、代表的な種はブラウンキーウィやコマダラキーウィなどがいます。
2. ダチョウ科 (Struthionidae): アフリカに生息するダチョウが知られています。
3. ヒクイドリ科 (Casuariidae): ヒクイドリやエミューが含まれ、時にこれらを異なる科に分類する場合もあります。
4. レア科 (Rheidae): 南アメリカに生息し、二種類のレアが存在します。

また、平胸類には絶滅したエピオルニス科やモア科も含まれることがあります。これらの系統の分類には賛否が分かれ、従来の分類法も多様です。クレメンツ分類やピーターズ分類などではそれぞれの科を独立的な目に分けることもありますが、一方でSibley & Ahlquistのように、すべてをダチョウ目に含める説もあります。

このように平胸類はその構造や生態、系統について非常に興味深い研究対象であり、これからも新たな発見が期待されています。

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