平越府

平越府は、中国の明代から清代にかけて存在した府です。現在の貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州北部と遵義市南東部に位置していました。この地域は、歴史を通じて行政区画の変更が繰り返されてきました。

平越府の成立

平越府の前身は、元朝時代の1283年（至元20年）に設置された平越軍民長官司です。その後、明朝の1382年（洪武15年）には、この地に平越衛が置かれました。さらに1384年（洪武17年）には、平越衛に平越軍民指揮使司が設けられ、この地域における軍事的な役割も担うようになりました。

1601年（万暦29年）になると、平越軍民指揮使司は平越軍民府へと改められました。この時、平越軍民府は貴州省に属し、清平衛、興隆衛、黄平州、および甕安、湄潭、余慶の3県、そして凱里長官司と楊義長官司の2長官司を管轄していました。これにより、平越府は2衛1州3県2長官司を統括する広範な行政区画となりました。

平越府から平越直隷州へ

清朝時代の1687年（康熙26年）には、平越軍民府は平越府と改称されました。この変更は、行政組織の簡略化を目的としたものと考えられます。しかし、1798年（嘉慶3年）には、平越府は平越直隷州に降格しました。この時、平越直隷州は貴州省に属し、甕安、湄潭、余慶の3県を管轄することになりました。この降格は、地域の重要性の変化や行政上の都合によるものと考えられます。

平越県の成立と廃止

1913年、中華民国が成立すると、平越直隷州は廃止され、平越県として再編されました。この変更は、近代的な行政制度への移行を意味するものでした。平越府の歴史は、この平越県の成立によって、その役割を終えました。

このように、平越府は元朝から中華民国にかけて、その形態と名称を変えながら、地域の歴史と行政を支えてきました。平越軍民長官司から平越衛、平越軍民指揮使司、平越軍民府、平越府、平越直隷州、そして平越県へと変遷した歴史は、中国の地方行政制度の変遷を物語る上で重要な事例と言えるでしょう。

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