平遥古城

平遥古城：時を超えた中国の古都

平遥古城（ピンヤオグーチェン）は、中国の山西省に位置する古都。明代の初期に築かれた城郭都市で、その保存状態の良さから1997年にユネスコの世界遺産に登録されました。まるで時が止まったかのような街並みは、訪れる人々を魅了し続けています。

金融の中心地としての歴史

平遥は、明代から清代にかけて「晋商」と呼ばれる山西商人の拠点として栄えました。特に清代末期には、為替業務の中心地として中国の金融を牽引。しかし、時代の変化とともに衰退し、20世紀後半には貧困地域へと転落しました。皮肉なことに、それが都市開発を免れ、古都の姿がそのまま残る結果となりました。

城郭都市の特徴

平遥古城は、「亀城」とも呼ばれる独特の都市構造を持っています。街路は「土」の字形に配置され、建築物は八卦の方位に基づいて建てられています。これは、明清時代の都市計画の思想を反映したものです。城内には300ヶ所以上の旧跡や古建築が点在し、約4,000軒もの明清時代の民家が良好な状態で保存されています。

城壁

平遥の城壁は、明の洪武3年（1370年）に築かれたもので、都市を防御する重要な役割を果たしていました。現存する城壁は、中国に残る都市の城壁の中でも最大級の規模を誇り、その保存状態も非常に良好です。城壁には6つの城門、甕城、4つの角楼、72の敵楼が残っており、当時の軍事的な構造を今に伝えています。南門の城壁は2004年に倒壊しましたが、その後再建され、往時の姿を取り戻しています。

観光

アクセス

平遥古城へのアクセスは、以前は太原空港からのアクセスが主流でしたが、2014年に高速鉄道の平遥古城駅が開業し、北京からのアクセスが大幅に改善されました。現在では、北京から最短で約4時間で到着することができます。車の場合、太原から高速道路を利用して約1時間半です。

城内の移動

平遥古城内は、住民以外の自動車の乗り入れが禁止されています。そのため、城門付近で電気カートに乗り換える必要があります。また、古城の中心部は歩行者天国となっており、電気カートの乗り入れも禁止されています。

見どころ

平遥古城は出入り自由で、入城も無料です。ただし、城内の主要な観光地、たとえば平遥文廟、平遥県署、票号「日昇昌」、中国鏢局博物館、古民居博物館などに入場するには、別途入場券を購入する必要があります。城内には、古い民家を改造した旅館やレストラン、商店などが数多くあります。商店では、平遥特産の推光漆器や繡花鞋、平遥牛肉などの土産物を購入することができます。城壁は有料で上ることができ、かつてはレンタル自転車で一周することもできましたが、現在は保護のため一部区間を除き立ち入り禁止となっています。

宿泊施設

古城内外には、四合院と呼ばれる伝統的な民家を改装した旅館をはじめ、多くの宿泊施設があります。これらの旅館は、古都の雰囲気を満喫できるとあって、観光客に人気があります。

世界遺産としての価値

平遥古城は、以下の世界遺産登録基準を満たし、登録されました。

(2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
(3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
* (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

平遥古城は、中国の歴史と文化を今に伝える貴重な遺産です。その美しい街並みを歩けば、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わうことができるでしょう。

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