四合院
四合院とは
四合院（しごういん、sìhéyuàn）は、中国の伝統的な住居形式の一つです。その名の通り、四つの建物が方形の中庭を囲むように配置されているのが特徴で、中国北方の伝統的な家屋建築の代表例とされています。
四合院の歴史
四合院の歴史は非常に古く、3000年以上前に遡ると言われています。その基本的な構造は遼代にはすでに形成されており、金、元、明、清の時代を経て、現在の形になったとされています。特に明・清時代に建てられた北京の四合院は、その後の変遷を経て、様々な形で利用されてきました。
かつては貴族や富裕層の邸宅であった四合院も、清朝崩壊後には複数の世帯が住む集合住宅になったり、国家機関の職員の住居として利用されたりしました。近年では、都市開発や再開発の影響で多くが取り壊されていますが、歴史的な価値から保護の対象となるものも少なくありません。
北京の四合院
北京の四合院は、その代表的な例として知られています。中心となる中庭を囲むように四つの建物が配置され、それぞれが特定の役割を持っています。
北京四合院の構造
- - 正房（せいぼう）：北側に位置し、一家の主人が住む主屋です。他の建物よりも屋根が高く、最も重要な建物とされています。
- - 東廂房（とうしょうぼう）：東側に位置し、主人の両親や長男が住みます。
- - 西廂房（せいしょうぼう）：西側に位置し、次男が住むことが多いです。
- - 倒坐房（とうざぼう）：南側に位置し、使用人や厨房、トイレなどが置かれます。間取りは他の建物とは反対向きになっているのが特徴です。
これらの建物はそれぞれ独立しており、中央の通路を通ることで相互に行き来することができます。また、四合院の入り口である大門は、道路に面しており、風水に基づいて東南隅に位置することが多いです。
中庭（院子）
四合院の中心となる中庭は、「院子（ユアンズ）」と呼ばれ、住人にとって憩いの場となります。庭には植物を植えたり、石を置いたりして、自然を感じられる空間が作られます。金魚を飼ったり、ハナカイドウを植えたりすることも一般的です。
中庭に植える樹木には一定のルールがあり、左右対称に植えられるのが基本です。桑、柳、楡、槐の木は縁起が悪いとされ、植えられないのが一般的です。
四合院の現状
現代では、四合院は一家族が一つを占有するというケースは少なくなり、複数の世帯が共同で住むことが多くなっています。また、ホテルや公共施設として利用されているものも多く、その多くは一般の人が見学できるようになっています。
2008年の北京オリンピック開催に伴う都市整備や再開発によって、多くの四合院が取り壊されましたが、その歴史的価値から、保存・修復の動きも活発になっています。
四合院と著名人
多くの著名人が四合院に住んでいました。特に有名なのは、魯迅（ろじん）がかつて住んでいた四合院です。彼は北京で四合院を購入し、家族とともに生活していました。現在、その場所は記念館として公開されています。
その他にも、多くの著名人が四合院に住んでおり、その多くが記念館として公開されています。
各地方の四合院の特徴
四合院は中国各地に見られますが、地域によってその特徴が異なります。例えば、北京などの寒冷地では、日当たりを確保するために中庭が広く、壁も厚く作られています。一方、陝西省や山西省などでは、西日を避けるために東西の幅が狭く、南北の幅が長い構造になっています。
まとめ
四合院は、中国の伝統的な住居形式であり、その構造や歴史には多くの魅力があります。現代では都市開発によりその姿を消しつつありますが、中国の文化遺産としてその価値が見直され、保存・活用が進められています。
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