平重道

平重道

平重道（たいら しげみち、1911年10月18日 - 1993年7月2日）は、昭和期の日本の歴史学者であり、東北大学の名誉教授として知られています。宮城県仙台市に生まれ、地域に根ざした歴史研究に情熱を注ぎました。

生涯

1934年、平重道は東北帝国大学法文学部国史学科に入学し、村岡典嗣の指導を受けました。1937年に卒業し、卒業論文として「承久の乱の史論と解釈」を執筆しました。その後も研究を続け、1968年には「吉川神道の基礎的研究」で東北大学より文学博士の学位を取得しました。

東北大学教養部では助教授、教授として教鞭を執り、後には宮城教育大学教授も務めました。仙台の歴史に関する研究に力を入れ、地域文化の掘り起こしに貢献しました。

1986年11月には、長年の功績が認められ、勲三等旭日中綬章を受章しました。

業績

平重道の研究は、仙台藩の歴史、近世日本思想史、そして吉川神道という、多様なテーマに及んでいます。

吉川神道研究

学位取得のきっかけとなった『吉川神道の基礎的研究』は、吉川神道の成立と展開を明らかにした画期的な研究です。吉川神道は、中世後期に成立した神道の一派であり、吉田神道の流れを汲みつつ、独自の教義や儀礼を形成しました。平重道は、文献資料を丹念に読み解き、吉川神道の思想的特徴や歴史的意義を明らかにしました。

仙台藩の歴史研究

『仙台藩の歴史』シリーズでは、伊達政宗の時代から戊辰戦争、伊達騒動、林子平まで、仙台藩の歴史を様々な角度から描き出しています。地域に密着した視点から、藩政の構造や社会の動向を分析し、仙台藩の歴史像を鮮やかに浮かび上がらせました。

近世日本思想史研究

『近世日本思想史研究』では、江戸時代の思想家たちの思想を幅広く取り上げ、その思想的背景や相互関係を考察しました。日本の思想史研究に新たな視点を提供しました。

著書

『吉川神道の基礎的研究』吉川弘文館　1966
『仙台藩の歴史 第1　伊達政宗・戊辰戦争』宝文堂 1969
『近世日本思想史研究』吉川弘文館 1969
『仙台藩の歴史 第2 伊達騒動』宝文堂、1970
『林子平 その人と思想 仙台藩の歴史 第4』宝文堂 1977
『みちのくの歴史』日本放送出版協会 (NHKブックスジュニア) 1979
共編著
『日本文化史入門』石田一良・今中寛司共編 東北出版 1960
『伊達治家記録』全24巻 宝文堂出版販売 1972-82 (仙台藩史料大成)
『日本思想大系 39 近世神道論　前期国学』阿部秋生と校注 岩波書店 1972
『神道大系 論説編 10 吉川神道』神道大系編纂会 1983

記念論集

『東北の考古・歴史論集』平重道先生還暦記念会 1974


平重道の研究は、地域史研究の重要性を示し、後進の研究者に大きな影響を与えました。その業績は、今もなお高く評価されています。

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