平野威馬雄

平野 威馬雄について

平野 威馬雄（ひらの いまお、生年1900年5月5日 - 没年1986年11月11日）は、日本の詩人でありフランス文学者としても知られています。彼は同人誌「青宋」を主宰し、また日本詩人クラブの創設メンバーでもありました。横浜市で生まれ育った威馬雄は、生涯を通じて文学活動に尽力しました。

生い立ちと背景

威馬雄は、東京市赤坂区青山北町に位置する柳原愛子邸で生を受け、横浜市西区老松町で成長しました。日米の往来が多い家庭環境の中で育ちましたが、父親のヘンリイ・パイク・ブイは、富豪未亡人との結婚により財を成し、アメリカと日本を行き来する生活をしていました。母親の平野駒もカトリック信者であり、琴の教授をしていましたが、その信仰故に差別を受けることもありました。

幼い頃から混血児として差別に直面した威馬雄は、柔道を学び、精神的に強くなる努力をしました。小学校は横浜市立老松小学校から、カトリック系ミッションスクールの暁星小学校に編入し、寄宿生活を始めますが、学校の環境には馴染めず、教師や保護者に対する批判の詩を書き始めました。

文学との出会い

暁星中学校に進学後、威馬雄は国語教師からの評価を受け、自らの文才を伸ばしていきます。しかし、差別的な扱いから脱却できず、さらに不満を抱える中で文学活動に没頭しました。特に、フランス文学に強い興味を持ち、同人誌『エトワル』を創刊しました。18歳になると、詩人正富汪洋との出会いをきっかけに、詩誌『新進詩人』に参加し始めました。

薬物中毒との闘い

大学生活を送りながらも、威馬雄は1922年に友人から教えられたコカインに手を出し、その結果、約15年間にわたり薬物中毒に苦しむことになります。この時期に経験した苦悩と社会からの孤立は、彼の文学や詩作にも反映されています。様々な事件を経て、最終的には治療を受けて薬物中毒から回復し、再び文壇に復帰しました。

混血児支援活動

戦後、混血児に対する差別問題に目を向け、彼自身の苦い経験を生かして「一九五三年会」を設立し、混血児の支援活動に取り組みます。多くの混血児を自宅で面倒見たり、自らの子として認知したりするなど、彼の行動は多くの人々に希望を与えました。1959年には自伝的作品『レミは生きている』で児童出版文化賞を受賞しました。

晩年と影響

晩年、威馬雄は超常現象にも関心を向け、UFO研究や麻薬撲滅運動にも参加しました。晩年まで多くの著作を通じて、社会問題に積極的に発言し続けました。1986年、心筋梗塞によって亡くなるまで、威馬雄は創作活動と社会貢献の両方に尽力しました。彼の著作や活動は、今なお多くの人々の心に残り続けています。

著書と業績

平野威馬雄が手掛けた著書には、フランス桝象詩の研究や、自伝的な混血児の生活に関する書籍、さらには超常現象に関する研究が含まれます。彼の豊富な知識と独自の視点から描かれた作品は、今なお多くの読者に影響を与えています。

威馬雄の生涯は、文学だけにとどまらず、社会的な活動や個人の苦労を反映させた深い意味を持つものであり、彼の名は永遠に残ることでしょう。

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