柳原愛子

柳原愛子の生涯と功績

柳原愛子（やなぎわら なるこ、1855年5月31日または同年6月1日 - 1943年10月16日）は、明治天皇の側室であり、大正天皇の生母でした。彼女は幕末の議奏・柳原光愛の次女であり、伯爵柳原前光の妹でもあります。愛子は正二位という位階を持ち、二位局と呼ばれていました。彼女の女房名は梅ノ井や早蕨典侍、早蕨局など、多岐にわたります。

初期の経歴

」1870年（明治3年）、愛子は皇太后宮小上臈として皇后・英照皇太后に仕えました。同年6月には、掌侍として従五位に叙されました。その後、1872年には中山慶子の推薦により明治天皇の御所に仕官し、翌年には権典侍に任命されました。この年、愛子は正五位を獲得しました。

彼女はその容姿と知性に恵まれ、明治天皇の後宮で寵愛を受けました。愛子と明治天皇の間には、第二皇女・薫子内親王、第二皇子・敬仁親王、そして第三皇子・嘉仁親王が生まれましたが、成人したのは後に大正天皇となる嘉仁親王だけでした。さらに、愛子は明治時代に3度、歌会始で詠進歌を詠む光栄を得ています。

教育と典侍としての役割

九条節子（後の貞明皇后）が皇太子妃に決まった際、彼女の教育係として選ばれた愛子は、その厳格でありながら柔らかな人柄で皇太子妃をサポートしました。1902年（明治35年）には典侍に任命され、1911年の皇后の還暦祝賀行事では筆頭女官として参加しました。皇太子妃が腸チフスで療養する際も、愛子はその側で寄り添い、法華経を唱えて快癒を祈り続けました。

明治天皇の崩御とその後

1912年に明治天皇が重篤になると、愛子はしばしば大乗寺に参詣し、天皇の健康回復を願って法華経を唱えました。しかし、天皇は7月30日に崩御。その際、愛子は大喪の礼において霊柩のそばで儀式を執り行いました。1892年から1943年にかけて、彼女の生涯は波乱に満ちたものでした。大正天皇が即位した後、彼女は典侍を退任し皇后宮職に異動しました。

最晩年

大正天皇の崩御後、愛子は実子を失った悲しみに暮れ、1943年に危篤となります。そして、皇太后自身が見舞いに訪れる中で、愛子は満88歳でこの世を去りました。葬儀は10月20日に行われ、天皇・皇后・皇太后はそれぞれ使者を派遣して弔意を表しました。愛子の墓所は東京都目黒区にある祐天寺です。

人物像

柳原愛子は、貞明皇后に対する教育の中で「日向になり、影となる」存在であり、皇后は彼女の思いやりを「実の母のようにうれしい」と感じたと伝えられています。愛子は、非常に気配りのできる女性であり、宮中の女官たちからも慕われていました。特に、大正天皇の最期の際には、愛子がそばで見守る中、皇后や皇太子夫妻とともにその瞬間を過ごしたという逸話が残されています。彼女の生涯は、日本の歴史において重要な役割を果たしました。

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