平野婦美子

平野婦美子（ひらの ふみこ）

平野婦美子（1908年9月19日 - 2001年6月）は、日本の教育者として知られています。千葉県出身で、旧姓は佐久間です。彼女は、教育者として、また社会教育指導者として、その生涯を教育に捧げました。

生い立ちと教員生活

平野婦美子は千葉女子師範学校を卒業後、千葉県長浦尋常小学校で教鞭を執りました。1930年に結婚し、姓を平野に改め、市川尋常高等小学校に赴任。1937年に病気で一時休職しましたが、翌年には東京市第四日野小学校などで教諭として復帰しました。

綴り方教育への情熱

市川尋常高等小学校在籍中、平野は寒川道夫や国分一太郎といった綴り方教育の先駆者たちと交流を深め、「東京綴方の会」に参加。さらに、教育科学研究会の言語教育研究部会にも積極的に関わりました。1940年には、自身の教育実践をまとめた著書『女教師の記録』を出版。この本は文部省の推薦図書に指定され、彼女の名を教育界に広めました。

戦時下の苦難と戦後の活動

『女教師の記録』は、後に映画化される予定でしたが、推薦が取り消され、平野自身も東京都教育局から辞職勧告を受けるという苦難を経験します。しかし、戦後、彼女は千葉県社会教育指導委員、大佐和町教育委員、ひらの学園長など、多岐にわたる役職を歴任し、社会教育に貢献しました。

交流

市川尋常高等小学校時代には、後に画家となる丸木俊（赤松俊子）と同僚として親交がありました。丸木がモスクワへ家庭教師として赴任する際には、平野が仲介役を務めたとされています。

教育者としての遺産

平野婦美子の教育実践は、綴り方教育を中心に、子供たちの主体的な学びを重視したものでした。彼女の著書や論文は、当時の教育界に大きな影響を与え、その思想は今日においてもなお、教育に携わる人々に示唆を与え続けています。彼女は、2001年に93歳でその生涯を閉じましたが、その教育への情熱は、後世に語り継がれるべきものです。

主な著作・論文

「父兄も参加する敎室風景」 『敎育科學研究』 第1巻 1号 1939
「童話は母親が作れ」 『敎育科學研究』 第2巻 10号 1940
「少国民の心意気」 『婦人公論』 第320号 1942
「若き女教師への手紙」 『教育手帖』 第1巻 3号 1950
「種播く女教師」 『教育社会』 第5巻 5号 1950
「夏休みの生活設計」 『PTA教室』 第1巻 4号 1950
「夏休みに何を望むか―家庭から学校へ」 『児童心理』 第6巻 8号 1952
「『女教師の記録』の頃」 『教育評論』 第255号 1971
『綴る生活の指導法』厚生閣 1939
『女教師の記録』西村書店 1940
『母と教師へ』社會教育協會 1941
『綴る生活―表現の生活と教育』牧書店 1947
『愛児に贈る母の記録』牧書店 1948
『オ日サマノ子』編　日本出版社 1941

関連事項

* 綴方教室

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