綴方教室

『綴方教室』

『綴方教室』は、1937年に出版された文学作品で、鈴木三重吉の教育理念に影響を受けた生活綴方運動の一環として位置づけられています。この本は、大木顕一郎という東京・下町の小学校教師が編集、指導、解説を行い、当時の小学生・豊田正子の作品を基にした26篇の綴り方を収めています。これらは雑誌『赤い鳥』に掲載されたものです。

出版後、たちまち話題の作品となり、その素直で純真な視点から描かれた当時の生活が多くの読者の共感を呼び起こしました。その結果、この本は大ヒットし、多くの人々に親しまれる一冊となりました。戦後の教育界にも影響を与え、無着成恭らの「綴り方教育」に多大な影響を及ぼしました。

また、作品は1938年3月6日から3月20日まで新築地劇団によって舞台化され、同年8月には山本嘉次郎監督によって映画化されています。この映画は特に注目を集め、評価されました。

映画の概要

『綴方教室』の映画版は1938年に公開され、山本嘉次郎監督のもと、ドキュメンタリー風の手法が採用されました。ドラマ的な要素は削り、実際のロケーションを多用することで、作品にリアリティを与えています。物語の舞台は、東京市葛飾区四つ木であり、昭和13年の風景を背景に展開されます。

映画化の際には、豊田正子が撮影所を訪れた際に、出演俳優の高峰秀子が行った発言に関して言及したことで騒動が起こりました。高峰はその発言内容に反論し、内容証明を送る騒ぎとなったことでも注目を集めました。

主なキャスト・スタッフ

キャスト
正子: 高峰秀子
母: 清川虹子
父: 徳川夢声
正子の弟: 小高まさる
光男: 水谷史郎
大木先生: 滝澤修
他

スタッフ
監督: 山本嘉次郎
脚本: 木村千依男
原作: 豊田正子
製作: 森田信義
製作主任: 黒澤明
音楽: 太田忠
撮影: 三村明
美術: 松山崇
編集: 岩下廣一

続編と後の展開

『綴方教室』のその後の展開として、1961年に続編である「粘土のお面」が映画化されました。この映画もまた、当時の人々に支持される作品となりました。同年には、テレビドラマにおいても『粘土のお面』がドラマ化され、多くの視聴者に楽しまれています。

関連項目
大正自由教育運動における流れの一部として、とても重要な位置を占める作品です。『綴方教室』は、日本の教育運動に影響を与え、後の世代にもその教えが引き継がれています。

この作品は、ただの教育書に留まらず、文化的な影響を及ぼし続け、今なお、多くの人々に愛されている文学作品です。

もう一度検索