平頼綱

平頼綱（たいら の よりつな）

平頼綱は、鎌倉時代後期に活躍した武士であり、北条氏得宗家に深く関わっていました。彼は北条時宗や北条貞時の信任を受け、重要視された御内人の一人でした。父は平盛時で、彼もまた北条家の執事として重責を担っていました。

生涯の概要

頼綱は北条泰時に仕えていた平盛綱の孫にあたります。鎌倉幕府の中で御内人として、時宗の命令を遂行する役割を果たしました。また、弘長元年（1261年）に父から侍所所司を継承し、文永9年（1272年）以前には得宗家の執事となっていたとされています。

彼の生年は特定されていませんが、次男の資宗が文永4年（1267年）に生まれているため、仁治元年（1240年）頃生まれた可能性があるとされています。この場合、頼綱は北条時頼の偏諱を受けて元服したことになります。

モンゴル襲来と宗教対立

文永8年（1271年）9月、元寇の危機が迫る中、頼綱は日蓮に関する事件に関与しました。日蓮は過激な他宗批判を行い、浄土宗の僧・行敏に告訴されます。頼綱は侍所所司として、事件の取り調べを担当しました。日蓮はこの後、佐渡に流罪とされますが、後に鎌倉で頼綱と再会します。

この時期、鎌倉幕府は他宗との団結を図る中、日蓮には護国のために一致団結するよう申し入れますが、日蓮はこれを拒否しました。

安達泰盛との対立

時宗が数名の重臣と行う「寄合」と呼ばれる秘密会議で表立って活動していた頼綱は、安達泰盛とも接触を持つ重要な存在でした。蒙古襲来の影響で、得宗の権力が拡大する一方、頼綱は安達泰盛との対立を深めていきます。特に弘安8年（1285年）には、「霜月騒動」と呼ばれる武力衝突が発生し、頼綱は泰盛を討つことに成功しました。これにより、彼は得宗家の支配体制を強化しました。

頼綱の専制支配

元寇後、頼綱は御家人に対する恩賞問題に直面し、国防を強化しなければならない状況にありました。彼は弘安徳政の撤回を行い、訴訟の公正化を進めるとともに、得宗家の権力を一層強化しました。頼綱は、執権が依存する形で動いており、特に内管領としての立場を活かしていました。

最期

頼綱の権力は、最終的には貞時の不安を招くこととなりました。正応6年（1293年）4月の鎌倉大地震に乗じて、貞時の軍に襲撃され、頼綱は自害します。この事件は「平禅門の乱」として記録されており、頼綱の死後、彼の一族は次々と滅ぼされました。

頼綱の死によって北条氏の構造は大きく変化し、彼の後任となる人物たちがその影響を受けることとなりました。彼の生涯は、鎌倉時代の権力闘争や宗教対立、そしてその後の政治的変遷を示す重要な一例と言えます。

もう一度検索