年少者労働基準規則

年少者労働基準規則（ねんしょうしゃろうどうきじゅんきそく）は、労働基準法第6章の規定に基づいて制定された厚生労働省令です。この規則は、満18歳に満たない年少者の労働条件に関する具体的な基準を定めることを目的としています。

沿革

本規則は、1954年（昭和29年）6月19日に労働省令第13号として公布、施行されました。制定当初は「女子年少者労働基準規則」という名称でしたが、1986年（昭和61年）の改正により、女性労働者に関する規定が「女子労働基準規則」（当時）として独立したことに伴い、現在の名称に変更されました。

構成

現行の規則は、全10条と附則から構成されています。ただし、第4条および第6条は削除されています。

主な規定内容

第1条・第2条（児童の労働 許可）

労働基準法では、満13歳以上で一定の条件を満たす児童（原則として満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者）が就業する場合、行政官庁の許可が必要とされています（労働基準法第56条第2項）。本規則第1条は、使用者がこの許可を得るための手続きを定めています。

許可申請時には、使用する児童の年齢を証明する戸籍証明書、学校長の修学に支障がないことを証明する書類、および親権者または後見人の同意書を添え、所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。

第2条は、申請を受けた労働基準監督署長による許否決定とその通知、添付書類の返還について規定しています。許可しない場合は、申請した使用者だけでなく、当該児童本人にも通知されます。また、許可の判断にあたっては、申請に係る児童の居住地を管轄する労働基準監督署長の意見を聞くことが義務付けられています。これは、児童自身の意思が反映されるよう、就業がその健康や福祉にとって有害でないか、また学業に支障がないかなどを慎重に判断するための配慮です。学校長の修学に差し支えない旨の証明がない場合、許可は認められません。

第3条（労働契約の解除）

労働基準法第58条第2項に基づき、未成年の労働契約が親権者等によって将来に向かって解除される場合、その手続きは所轄の労働基準監督署長が行います。

第5条（深夜業時間延長許可）

労働基準法は、原則として年少者の深夜業を禁止していますが、例外的に交替制によって使用される満15歳以上満18歳未満の者については、行政官庁の許可を得れば深夜業が認められる場合があります（労働基準法第61条第3項）。本規則第5条は、この許可を所轄の労働基準監督署長から受ける必要があることを定めています。

第7条（重量物取扱いの制限）

労働基準法第62条第1項を受け、年少者が取り扱える重量物について具体的な制限を定めています。年齢と性の区分に応じ、それぞれ取り扱える最大の重量が定められており、これを超える重量物を取り扱う業務に就かせることは禁止されています。

第8条（危険な業務等の制限）

労働基準法第62条第1項および第2項に基づき、満18歳に満たない年少者が就くことのできない危険または有害な業務が具体的に多数列挙されています。例えば、ボイラーやクレーンの運転、高圧電路の点検・修理、動力により駆動される機械の操作や掃除、重量物の玉掛け、爆発物・危険物の製造・取扱い、有害なガス・蒸気・粉じんが発生する場所での業務、著しい高温・低温・異常気圧下の業務、身体に著しい振動を与える機械の使用、強烈な騒音を発する場所での業務、病原体汚染のおそれがある業務、刑事施設や精神科病院での業務などが含まれます。ただし、保健師助産師看護師法に基づく免許保持者や養成中の者には例外が適用される業務もあります。

第9条（児童の使用が絶対禁止される業務）

労働基準法第56条第2項の許可対象である児童（満13歳以上で許可を受けた者など）については、健康や福祉への有害性を個別に判断するまでもなく、絶対に使用が許可されない業務が定められています。これには、公衆の娯楽を目的とした曲馬や軽業、戸別訪問や路上での歌唱・演芸、旅館、料理店、飲食店、娯楽場での業務、エレベーターの運転業務などが含まれます。特に、サーカス団での曲芸については、年齢や技芸の種類、高さなどに応じた詳細な制限が通達で示されており、特定の高所での曲芸や危険な技芸は禁止されています。

第10条（帰郷旅費支給除外認定）

労働基準法第64条は、使用者は年少者が解雇等により帰郷する場合に旅費を負担する義務があることを定めていますが、例外的にその義務が免除される場合があります。本規則第10条は、この帰郷旅費支給義務の除外認定を所轄の労働基準監督署長から受けるための手続きを規定しています。労働基準法施行規則第7条の規定による認定を受けた場合も、本条の認定を受けたものとみなされます。

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