幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形

映画『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』

1970年7月4日に公開された『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』（英題: VAMPIRE DOLL）は、日本の特撮恐怖映画として名高い作品です。製作と配給を手がけたのは東宝で、カラーニのシネマスコープで撮影されました。本作は、同じく山本迪夫監督による『悪魔が呼んでいる』と共に公開され、「血を吸うシリーズ」の第一弾として位置づけられています。

あらすじ

物語は、激しい雷雨の夜、佐川和彦が婚約者の野々村夕子に会うために屋敷を訪れることから始まります。しかし、その場で夕子が半月前に事故死していたことを知らされ、和彦は動揺を隠せません。彼は泊まることになり、雷の音と共に聞こえる女性の泣き声に不安を覚えます。ドアの鍵穴を覗くと、そこには夕子に似た誰かが座っているのを見つけ、思わず部屋に入ります。クローゼットを開けると、そこに見覚えのある夕子の姿が。それを見た瞬間、和彦は後ろから襲われ、意識を失います。

その後、和彦の妹である佐川圭子は、恋人の高木浩と共に夕子の屋敷を訪れ、兄の行方を追います。しかし、屋敷の主である夕子の母・志津は、夕子の死と和彦がすでに帰ったと言い放ちます。圭子はこの言葉に疑問を抱き、屋敷を調べることに。すると、夕子に贈ったプレゼントや、夕子の墓のそばで発見した和彦の血のついたカフスボタンを見つけ、兄がまだ屋敷内にいる確信を得ます。

圭子と浩は、屋敷内に留まりながら、謎を深めていきます。その夜、圭子と浩は女の泣き声を再び聞き、圭子は志津に対する疑念を強めます。最終的に、夕子が血まみれの手にナイフを持って現れ、圭子たちは夕子の過去と彼女が亡くなった経緯を掘り下げていきます。

調査を進める中で、夕子の医師である山口淳之介の存在が浮かび上がります。浩は、山口が経営する医院での情報を得て、夕子が土葬されていたことを知り、驚愕します。その夜、墓を掘り返した人夫の男が恐ろしい体験をし、同時に圭子は屋敷内で兄・和彦の姿を目にします。

物語は、夕子の正体が明らかになる中で、催眠術、復讐、愛などが交錯し、悲劇的な結末へと進展します。最終的に、夕子と彼女の母・志津の間に秘められた過去が浮かび上がり、彼女の嘆きが響き渡る中、運命が交差していくのです。

制作背景

本作品は、当時の東宝の興行状況から新しいアイデアを求めて生まれました。特に、田中友幸プロデューサーは、イギリスのハマー・プロによるドラキュラ映画を参考にし、「日本にもドラキュラを」と発想しました。監督の山本迪夫は、ショックな場面を魅力とする「ショッカー映画」を好み、両者の意向を組み合わせて物語が構築されました。また、田中は怪奇漫画の第一人者・楳図かずおの作品にも影響を受け、そのスタイルが確立されていったのです。

特に注目すべきは、主演の小林夕岐子のメイクに使われた金色のカラーコンタクトレンズであり、視界はほとんどなく彼女にとっては大変な挑戦でしたが、そのビジュアルが作品に独特の恐怖感を与える結果となりました。

公開後、特に女性ファンから支持を得てヒットとなり、続く『呪いの館 血を吸う眼』や『血を吸う薔薇』といった続編が制作され、シリーズとしての地位を確立しました。映画のスタイルやストーリー展開は、当時の観客の心をつかむ要素にもなっています。

キャスト

この作品には、中村敦夫、松尾嘉代、小林夕岐子などが出演し、それぞれのキャラクターが物語の深みを加える役割を果たしました。特に小林夕岐子の演じた夕子は、物語の中心的な存在として観客に印象を残し。

この映画は、今もなお多くの人々に愛され続け、その影響は日本のホラー映画界にも色濃く残っています。

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