呪いの館 血を吸う眼

映画『呪いの館 血を吸う眼』

『呪いの館 血を吸う眼』は、1971年6月16日に公開された日本の特撮怪奇映画で、東宝が制作を手がけました。82分の上映時間を持ち、カラー・シネマスコープ形式で撮影された本作は、日本初の吸血鬼映画とされたことからも、その重要性が伺えます。キャッチコピーには「白い霧が森を流れる夜、地下室の棺の蓋が開く！ 花嫁衣裳の死美人が立ち上る」とあり、作品の不気味さと神秘性を巧みに表現しています。同時上映として『雨は知っていた』も公開され、監督は山本迪夫が務めました。

あらすじ

物語の中心となるのは、中学教師の柏木秋子です。彼女は5歳の頃に見た悪夢がいまだに心を悩ませています。ある日、悪夢で見た異様な目を持つ男が現れ、秋子を襲います。さらに、秋子の妹である夏子もその男の元に取り込まれてしまいます。この状況を打破するため、秋子は恋人の佐伯の催眠療法を受けて記憶を掘り起こします。そこから明らかになったのは、彼女が「呪いの館」で悪夢を見ていたこと。そして、この家には吸血鬼が待ち構えており、秋子を花嫁として迎えるために成長を待っていたのです。

制作の背景

本作のプロデューサーである田中文雄は、怪奇映画の大ファンであり、前年度に制作した『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』が好評を博したことを受けて、本作の制作が決定しました。映画は「血を吸うシリーズ」として連作され、特にクリストファー・リー出演のハマー・プロのドラキュラ映画にインスパイアされた作品に仕上げられました。

また、脚本のタイトルは『幻の吸血鬼』という案もあったものの、最終的には『呪いの館 血を吸う眼』となりました。岸田森が吸血鬼役に選ばれた理由の一つに、彼の長身でスリムな体型が挙げられます。監督の山本迪夫は、岸田以外には考えられないと主張し、制作チームはその方向で進むことに。

キャラクターと設定

作品内で岸田が演じる吸血鬼は、小説や映画の「ドラキュラ伯爵」に影響を受けたキャラクターで、実年齢は43歳ながら見た目は若々しいです。彼は肌が白く、眼が金色に光る特性を持ち、鏡には映らないなど、典型的な吸血鬼の特徴を示します。また、彼によって吸血された者は肉体が衰え、特に女性は肌がより白くなるという怖ろしい設定が物語に緊張感をもたらしています。

この吸血鬼は、日本の能登半島出身の異国人の血を引く家系に属し、過去に家族の悲劇的な歴史が絡み合っています。過去に吸血鬼として覚醒したキャラクターは、平凡な人生を歩んできた初代と違い、娘たちに牙を向けたことが描かれ、さらなる恐怖感を強調しています。

音楽と撮影

音楽は眞鍋理一郎が担当しており、短い楽曲を多く用いることで効果音に近い役割を果たしています。吸血鬼登場時には低音楽器による独特な音色が聞かれ、観客の想像力を刺激しました。ロケーションは山中湖で行われ、映画のゴシックな雰囲気が強調されています。

まとめ

『呪いの館 血を吸う眼』は、特撮怪奇映画として日本における吸血鬼題材の先駆けとなった作品であり、未だに多くのファンを惹きつける魅力を持ち続けています。メーカーによる各種映像ソフトのリリースもあり、世代を超えて受け継がれている文化的な価値がうかがえます。

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