広丙 (防護巡洋艦)

広丙（こうへい、廣丙）

広丙は、清国海軍の防護巡洋艦で、広乙級の2番艦として知られています。この艦は日清戦争において日本海軍に編入され、その期待の新鋭艦であったものの、わずか1年足らずで沈没する運命を辿りました。

艦の歴史

広丙の建造は1891年4月11日に始まり、清国の福州船政局馬尾造船所で進水しました。そして、1892年には正式に竣工し、広東水師に所属することとなります。特に注目すべきは、広丙が日清戦争開戦直前の1894年に北洋水師に編入された点です。

1894年9月17日、広丙は黄海海戦に参加し、その後旅順への回航を行いました。旅順の陥落後は、威海衛へと移動し続け、戦局の変化に対応します。1895年2月17日、広丙はついに日本軍に降伏し、3月16日には戦利艦として日本海軍の艦籍に登録されました。この編入によって、広丙は日本海軍の一員となり、新たな任務に従事することになります。

しかし、広丙の運命は厳しいものでした。1895年12月21日、艦は台湾方面での任務中に澎湖島の南岸で座礁し、そのまま沈没してしまいます。この出来事により、広丙はわずか1年ほどでその艦生涯を終えることとなりました。

艦長

広丙の艦長は数名が務めました。清国海軍では林承謨が1891年4月26日から1892年秋まで、次に程璧光が1892年秋から1895年2月17日まで在任していました。その後、日本海軍に編入された際には藤田幸右衛門少佐が1895年8月23日から艦長を務めることになりました。

関連資料

広丙に関する詳細な情報は、以下の参考文献に掲載されています。これらの資料は、艦艇の歴史や設計、戦歴について深い見識を得るための貴重な参考になります。

• - 「写真 日本の軍艦 第5巻 重巡I」（雑誌「丸」編集部、光人社、1989年）
• - 「福井静夫著作集第4巻 日本巡洋艦物語」新装版（福井静夫、光人社、2008年）
• - 「福井静夫著作集第8巻 世界巡洋艦物語」（福井静夫、光人社、1994年）
• - 「日本海軍史」第7巻、第10巻（海軍歴史保存会、第一法規出版、1995年）
• - 「清末海軍艦船志」（陳悦、山東画報、2012年）

また、アジア歴史資料センターでは、艦に関連する公文書も多くアーカイブされています。これらを通じて、広丙の艦歴や状況をより深く理解することができるでしょう。広丙は、軍艦の歴史において特異な存在であり、その短い艦生涯にも多くの教訓が詰まっています。

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