広尾沖地震

広尾沖地震の詳細

広尾沖地震（ひろおおきじしん）は、1962年4月23日に北海道の広尾町北東沖約40kmの地点（北緯42度27.7分、東経143度46.0分、深さ69km）を震源にして発生しました。この地震は、当時の釧路で最大390ガルの地震加速度が観測され、規模こそ中程度でしたが、その影響は広域に広がりました。

被害状況

地震によって最も深刻な影響を受けたのは、十勝川流域の軟弱地盤が広がる地域でした。ここでは、道路や上下水道、鉄道、電線に多くの被害が見られた一方で、一般住宅の被害は比較的少なかったことが特徴です。震度3以上を観測した地域は広範囲にわたり、特に十勝地方では震度5の強震域が形成されました。しかし、震源の深さによって津波は発生せず、その点では他の大規模地震に比べて比較的安全でした。

池田町と豊頃村では、地震動の影響が顕著に現れました。具体的には、池田・利別間の道路において幅10〜220cmの亀裂が30mにわたって発生し、顕著な崩落も見られました。また、池田町下川合の畑地では、幅10cm、深さ56cm、長さ33cmにわたる地割れや地盤沈下が観測され、さらには豊頃村幌岡では十勝川の築堤に10kmにわたって地割れが生じ、その幅が90cmに達するところもありました。その結果、周辺地域は泥地状に変わってしまいました。

帯広市や幕別町、忠類村などの地域ではモルタル造の建物に被害が多く、特にサイロや煙突の壁に亀裂が生じることが頻発しました。大樹町の比較的丈夫な地盤でも、予想外の被害が報告されました。

十勝岳の噴火への影響

広尾沖地震の後、十勝岳の火山活動が活発化しました。火山活動そのものは1952年頃から始まっていましたが、この地震を契機にその動きは一層目立つものとなりました。地震が発生した後、特に大正火口での落石や噴気温度の上昇、有感地震の発生といった現象が確認され、地震から約1か月後の5月31日には有感地震が5回に達しました。この期間中、10回の火山性の有感地震が観測されるなど、十勝岳の活動が非常に活発だったことがわかります。

1962年6月29日にはついに十勝岳が噴火し、その活動が現地の環境にさらなる影響を及ぼしました。

まとめ

広尾沖地震は、特にその震源が深いことから津波を伴わなかったものの、広範囲にのぼる影響を地域社会に与えました。各種インフラが被害を受け、十勝岳の活動が活性化するなど、地域全体に強い印象を残したこの地震は、自然災害のリスクが存在する北海道における重要な出来事の一つとして記憶されています。

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