広尾町

広尾町（ひろおちょう）

広尾町は、北海道の南東部、十勝総合振興局の最南端に位置する町です。東は太平洋に面し、西は日高山脈に接する自然豊かな地域で、その地形は多様性に富んでいます。

町名の由来

「広尾」という地名は、もともとこの地域に設けられた十勝会所のあった場所の崖下の岬付近の名称でした。当初は「びろお」と呼ばれていましたが、後に「尾篭（びろう）」と聞こえるのを避けるため、「ひろお」と改められたとされています。この地名の語源はアイヌ語に由来すると考えられていますが、その具体的な解釈にはいくつかの説があります。

地理

広尾町は、十勝総合振興局の最南端に位置し、西部は日高山脈に連なる山岳地帯が広がっています。この山岳地帯は日高山脈襟裳十勝国立公園に属しており、豊かな自然が保護されています。東部は太平洋に面しており、海岸線が続いています。この地域は地震が多いことでも知られています。

町内には、野塚岳（1353m）、楽古岳（1472m）、十勝岳（1457m）、広尾岳（1231m）などの山々がそびえ、豊似川、野塚川、楽古川、広尾川などの河川が流れています。

広尾町に隣接する自治体は、十勝総合振興局内では大樹[[町]]、日高振興局内ではえりも[[町]]、様似町、浦河[[町]]です。

歴史

広尾の地は、かつて「東、奥蝦夷」と呼ばれ、広尾川沿いに土着の人々が暮らしていました。当初は松前藩士の領地でしたが、幕府の役人によって釧路に通じる新道が開通し、陸路での交通が便利になりました。寛政の頃には、十勝国全体の会所が広尾に置かれ、支配人が納税や宿泊などの業務を行っていました。

安政6年には仙台藩の領地となり、役人たちが丸山の麓に陣屋を構え、農家や職人などを移住させて農耕を試みました。その後、鹿児島藩、田安家、一橋家と領主が変わり、1871年にこれらの支配は廃止されました。

広尾町は、縄文時代から人々が生活していた地域で、装飾品や石器などが発見されています。1630年には十勝神社の戸賀知明神社が創建され、1630年代には近藤重蔵によって山道が開削されました。1822年には再び松前藩領となり、1859年にはトカチ陣屋が築かれました。明治時代に入ると、1871年に浦河郡役所広尾出張所が置かれ、1875年には茂寄郵便局が開設されました。

1906年には周辺の村々と合併し、茂寄村となり、その後、1926年に広尾村に改称されました。1946年には町制が施行され、広尾町となりました。1984年にはノルウェーのオスロ市からサンタランドの認定を受けています。

経済

広尾町の基幹産業は、漁業、農業（畑作）、酪農です。十勝港は国の重要港湾として、地域の経済活動を支えています。

農業においては、大日本篤農家名鑑に多くの篤農家の名前が記録されており、この地域が農業において重要な役割を担っていたことがわかります。

広尾町には、広尾町農業協同組合（JAひろお）、広尾漁業協同組合、広尾町森林組合などの組合や、帯広信用金庫、日高信用金庫、北海道銀行などの金融機関、広尾郵便局などの郵便局があります。

行政・公共機関

広尾町には、北海道開発局帯広開発建設部広尾道路事務所、海上保安庁釧路海上保安部広尾海上保安署、函館税関釧路税関支署十勝出張所などの行政機関があります。警察機関として広尾警察署、消防機関としてとかち広域消防事務組合広尾消防署があります。報道機関としては、NHK帯広放送局広尾支局、十勝毎日新聞社広尾支局、北海道新聞社広尾支局があります。

姉妹都市・提携都市

広尾町は、北海道の芽室町、長崎県（現西海市）の大島町、ノルウェーのフログン市と姉妹都市・提携都市の関係にあります。

教育

町内には、北海道広尾高等学校、広尾中学校、豊似小学校、広尾小学校があります。かつては、音調津小学校、音調津中学校、野塚中学校、広尾第二小学校、野塚小学校、豊似中学校がありましたが、統合や閉校により現在はなくなっています。

交通

広尾町へのアクセスは、帯広空港が最寄りの空港です。港湾としては、十勝港があり、かつてはフェリーが寄港していましたが、現在は廃止されています。鉄道は、かつて広尾線が通っていましたが、1987年に廃止されました。現在、町内を通る道路としては、帯広広尾自動車道（一部未開通）、国道236号、国道336号、複数の道道があります。

名所・旧跡・観光スポット

広尾町には、東蝦新道記、円空作観音像、仙台藩トカチ陣屋跡などの文化財があります。また、大丸山、魚類飼育展示館、フンベの滝、中川一郎記念館などの観光スポットがあります。祭りとしては、つつじ祭り、十勝港海上花火大会、ふるさと夏まつり、サンタランドイルミネーション点灯式、サンタの街イルミネーションコンテスト、海鮮山鮮まんぷくまつりなどが開催されます。

出身有名人

広尾町出身の著名人としては、政治家の中川一郎、中川義雄、喜多龍一、学術関係者の小田清、スポーツ関係者の志村亜貴子、北勝海信芳、堀田一郎などがいます。

ゆかりのある人物

広尾町にゆかりのある人物としては、画家の坂本直行、開拓農民で政治家の中川文蔵、政治家の中川昭一、実業家の本間宇兵衛などが挙げられます。

広尾町は、豊かな自然と歴史、文化が調和した魅力的な町です。

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