広島平和文化センター

公益財団法人広島平和文化センター：平和都市広島を支える機関

公益財団法人広島平和文化センターは、広島市の中心的な役割を担う機関として、広島平和記念資料館の運営をはじめ、平和に関する様々な事業を展開しています。その歴史は、1967年、山田節男広島市長の構想に基づき、広島市の一部局として発足したことに始まります。

しかし、その起源を辿ると、広島流川教会の谷本清牧師による「ヒロシマ・ピース・センター」構想にまで遡ります。この構想は、被爆者への医療、被爆被害の研究、関連展示施設の設置、そして世界の平和問題に関する研究機関の設立という、包括的なビジョンを示していました。この構想は、後の広島赤十字・原爆病院、放射線影響研究所、広島平和記念資料館、広島大学平和科学研究センター、広島市立大学広島平和研究所、そして広島平和文化センターといった機関の設立へと繋がっていくのです。

平和文化センターの理事長選任には、特筆すべき点があります。特に、原水爆禁止運動(原水禁)と原水爆協議会(原水協)の分裂を考慮し、両団体に関係しない広島出身者を優先的に選任してきた歴史があります。しかし、秋葉忠利広島市長時代からは、広島市外の人材も登用されるようになりました。

2007年には、アメリカ人のスティーブン・リーパー氏が理事長に就任。就任早々、広島平和記念資料館の展示内容の見直しを検討する委員会を設置し、委員に中国や韓国などアジア諸国の出身者を含むことを表明しました。その理由として、リーパー氏は「原爆投下を日本の植民地支配からの解放と肯定的に捉えるアジアの声も踏まえ、多様な民族が共感できる施設を目指したい」と語っています(中国新聞)。この発言は、平和構築における多様な視点の重要性を示すものと言えるでしょう。

沿革

1967年10月: 広島市の一局として発足
1976年4月: 財団法人広島平和文化センターとして設立
1988年11月: 中国人民平和軍縮協会との交流を目的とした訪中団を初めて派遣
1998年4月: 財団法人広島市国際交流協会と統合。広島平和記念資料館、広島国際会議場の管理・運営を受託
2001年4月: 広島市留学生会館の管理・運営を受託
2002年8月: 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の管理・運営を受託
* 2011年4月: 公益法人制度改革に伴い、公益財団法人に移行

広島平和文化センターの役割

広島平和文化センターは、単なる資料館の運営にとどまらず、平和教育、国際交流、そして平和に関する研究活動を積極的に推進しています。様々なプログラムやイベントを通して、広島の経験を世界に発信し、恒久平和の実現に向けて貢献しています。その活動は、過去の歴史を未来への教訓として活かし、平和な社会の実現を目指すという、広島市の強い意志を体現していると言えるでしょう。

現在、広島市長が会長、元エジプト大使が理事長を務め、多様な専門性と国際的な視点を取り入れながら、平和構築に向けた活動を展開しています。今後も、広島平和文化センターの活動から目が離せません。

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