広島県道・島根県道112号三次江津線

広島県三次市と島根県江津市を結ぶ一般県道として指定されているのが、広島県道・島根県道112号三次江津線です。この路線は、広島県三次市三次町の三次町交差点（国道375号交点）を起点とし、島根県江津市江津町の国道9号交点を終点とする計画ですが、一部区間が現在も開通しておらず、複雑な経路を辿ります。

路線概要

本線の総延長は約94.9kmに及びますが、このうち島根県江津市桜江町後山から同市川平町南川上までの約3.8kmは車両が通行できない未開通区間となっています。実質的な開通区間は、起点から江津市桜江町後山までと、江津市川平町南川上から終点までの合計約91.1kmです。

江津市中心部には、バイパス道路も整備されています。このバイパスは、島根県江津市嘉久志町の国道9号江津道路交点を起点とし、同市江津町の江津町交差点（国道9号交点）を終点とする、総延長約0.4kmの比較的短い区間です。このバイパスの一部、国道9号江津道路以北は既に完成しており、商業施設「ゆめタウン江津」付近に県道標識が見られます。

歴史

本路線の管理権限については、いくつかの変遷があります。

2005年（平成17年）6月1日、広島県安芸高田市内の区間（ただし、国道433号および国道434号との重複区間を除く）における県道の管理権限が広島県から安芸高田市へ移譲されました。
2024年（令和6年）4月1日には、広島県安芸高田市内のうち、国道433号および国道434号との重複区間に限った区間の管理権限が、広島県西部建設事務所から広島県北部建設事務所に変更されています。

路線状況

三次江津線という名称からは、かつて存在したJR三江線を連想させますが、この県道は全線が開通しているわけではなく、いまだに通行不能区間を残しています。また、他の多くの国道や県道と重複する区間が非常に多いという特徴があります。このため、単独区間が少なく、路線としての存在意義が薄れていると感じられることもあります。

経路は、江の川に沿って進む部分が多いものの、常に江の川の左岸を通るわけではありません。特に広島県安芸高田市高宮町佐々部から島根県邑智郡邑南町下口羽にかけての区間は、江の川の右岸部を通過します。この区間は他路線との重複にあたり、地図や案内標識ではそのことが明確に示されていない場合があり、ずっと左岸を通ると誤解しやすい箇所です。また、広島県三次市粟屋町から安芸高田市高宮町佐々部にかけてなど、大型車両での通行が困難な狭隘区間も複数存在します。

島根県内の山間部では、冬季閉鎖される区間もあります。具体的には、邑智郡邑南町矢上から同町日和間の大利峠付近と、邑智郡邑南町と江津市の境界付近の一部区間が、例年12月15日から翌年3月15日までの3ヶ月間通行止めとなります。

主な重複区間

本路線は非常に多くの道路と重複しています。主要な重複区間は以下の通りです。

国道54号・国道184号：広島県三次市粟屋町（落岩交差点） - 同所
国道433号・国道434号：広島県安芸高田市高宮町佐々部 - 三次市作木町香淀
国道375号：広島県三次市作木町香淀 - 三次市作木町大津
広島県道・島根県道4号甲田作木線：広島県三次市作木町大津 - 島根県邑智郡邑南町下口羽
島根県道・広島県道7号浜田作木線：広島県三次市作木町大津 - 邑智郡邑南町矢上
国道261号：島根県邑智郡邑南町井原
島根県道327号市木井原線：島根県邑智郡邑南町井原 - 邑智郡邑南町矢上
島根県道297号皆井田江津線：島根県邑智郡邑南町中野 - 邑智郡邑南町矢上
島根県道41号桜江金城線：島根県江津市桜江町川戸
島根県道221号川平停車場線：島根県江津市松川町長良 - 江津市川平町南川上
島根県道298号跡市川平停車場線：島根県江津市川平町南川上

道路施設

沿線にはいくつかの特徴的な橋梁やトンネルが存在します。

橋梁

祝橋: 広島県三次市。江の川を渡り、広島県内に現存する最古の鋼橋として知られています。
式敷大橋: 広島県安芸高田市高宮町佐々部（江の川左岸）と三次市作木町香淀（江の川右岸）を結びます。国道375号との重複区間に位置しています。
両国橋: 広島県三次市作木町大津（江の川右岸）と島根県邑智郡邑南町下口羽（江の川左岸）を結び、広島県道・島根県道4号甲田作木線との重複区間です。
松川橋: 島根県江津市。江の川を渡る橋です。

トンネル

広島県内では、国道375号重複区間に複数のトンネルがあります。

門田（もんでん）トンネル: 延長972m、2010年竣工。三次市内にあります。
熊見トンネル: 延長732m、1999年竣工。三次市内にあります。
式トンネル: 延長664m、2002年竣工。三次市内にあります。

島根県内では、島根県道・広島県道7号浜田作木線重複区間にトンネルがあります。

宮尾山トンネル: 延長113m、2008年竣工。邑智郡邑南町にあります。
伏谷トンネル: 延長286m、2012年竣工。邑智郡邑南町にあります。

地理

この路線は、広島県と島根県の県境を跨ぎ、以下の自治体を通過します。

広島県: 三次市、安芸高田市、三次市
島根県: 邑智郡邑南町、江津市

沿線には、三次市の桜名所である尾関山公園、雄大な江の川とその関連施設（江の川カヌー公園さくぎ、川の駅常清）、地域の学校や役場支所、島ノ星山、人丸神社、山辺神宮、江津本町の古い街並み、そして江津市役所やゆめタウン江津といった主要な施設など、様々な景観や地域資源が見られます。

また、島根県内には仁〆峠（島根県道・広島県道7号浜田作木線重複区間内）や、冬季閉鎖される大利峠といった峠も存在します。

管理

本路線の管理は、通過する自治体や区間によって異なります。

広島県三次市内の区間と、安芸高田市内の国道433号・434号重複区間は、広島県北部建設事務所が管理しています。
広島県安芸高田市内のうち、国道433号・434号重複区間を除く区間は、安芸高田市建設部すぐやる課が管理しています。
島根県邑智郡邑南町内の区間は、島根県県央県土整備事務所が管理しています。
島根県江津市内の区間は、島根県浜田県土整備事務所が管理しています。

このように、広島県道・島根県道112号三次江津線は、単なる通過点ではなく、その複雑な成り立ちや経路、沿線の多様な要素によって特徴づけられる興味深い地方道路と言えるでしょう。

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