広島県道50号本郷久井線

概要

広島県三原市内に位置する主要地方道、広島県道50号本郷久井線は、同市本郷南五丁目から久井町坂井原に至る路線です。この道路は、三原市街の主要幹線道路である国道2号や、地域間の連絡を担う国道486号といった主要幹線道路と接続し、地域の交通ネットワークにおいて重要な役割を担っています。特に仏通寺方面へのアクセスを改善するバイパスが整備されるなど、道路改良が進められてきました。

路線データ

本路線には現道と、かつて存在した旧道（一部は2024年に県道の指定を解除）があります。

現道
起点: 三原市本郷南五丁目仏通寺入口交差点（国道2号、広島県道362号小泉本郷線と接続）
終点: 三原市久井町坂井原（国道486号と接続）

旧道（かつて）
起点: 三原市高坂町許山（現道との交差点）
終点: 三原市久井町坂井原（国道486号と接続）
* 旧道の一部区間（三原市高坂町許山から終点までの約3.0km）は、かつて異常気象時通行規制の対象とされていました。

沿革

広島県道50号本郷久井線は、1993年（平成5年）4月1日付で広島県の告示により正式に認定された路線です。この路線の前身は、広島県道50号本郷御調線でした。しかし、その終点側の一部区間（三原市久井町坂井原から御調方面）が国道486号へ変更されたことに伴い、本郷御調線は廃止され、改めて本郷久井線として現在の区間で再編されたものです。認定からわずか1ヶ月後の同年5月11日には、建設省（現在の国土交通省）から主要地方道として指定を受け、広域交通ネットワークにおける重要路線としての位置づけが確立されました。

2005年（平成17年）3月22日には、三原市が周辺の賀茂郡大和町、豊田郡本郷町、御調郡久井町と合併し、新たな三原市が誕生したことに伴い、本路線の全区間が三原市域内に収まる形となりました。これに合わせて、起終点の地名表記にも変更が生じています。地域の交通利便性向上、特に仏通寺方面へのアクセス改善を目指して進められていた三原市高坂町許山と久井町坂井原を結ぶバイパスの整備は、2007年（平成19年）9月23日に全線が開通し、地域の交通流を円滑化に貢献しています。

また、起点の正確な所在地については、2008年（平成20年）8月25日に実施された新しい住居表示により、従来の「三原市本郷町本郷」から現在の「三原市本郷南五丁目」へと変更されました。

そして近年、かつて存在した旧道のうち、特に通行が困難であった区間について重要な変更がありました。2024年（令和6年）7月16日、広島県の告示により、三原市高坂町許山にある仏通寺北側付近から三原市久井町坂井原までの旧道の一部区間（実延長3,357.60m）について、県道の指定が解除されました。これは、長年にわたり地域の交通課題となっていた区間の位置づけを整理し、管理を適正化するためのものです。

路線状況

本路線の現道は、主要地方道として比較的良好に整備されており、円滑な交通が可能となっています。

途中の三原市高坂町真良から三原市久井町土取の間では、広島県道344号大草三原線と重複する区間が存在します。

かつて本路線には旧道が存在し、特に三原市高坂町許山にある仏通寺北側から終点に至る約3.36kmの区間は、その厳しい道路状況から「険道」と称されることがありました。この区間は、路面状態の悪さ、崖沿いの危険な箇所にもかかわらずガードレールの不足、対向車とのすれ違いが難しい狭隘な部分、切り返しが必要な急カーブの連続など、多くの難点を抱えていました。幅員規制（2m）や重量規制（2t）も課され、仏通寺側・坂井原側双方の入口には迂回を促す標識が設置されるほどでした。その険しさゆえに事実上通行が困難な箇所とも見なされましたが、こうした状況が道路地図で十分に示されることは少なく、かつてこの道を利用する際には十分な注意を要する区間でした。

バイパス開通後も旧道は県道として残されましたが、特に上述の険しい区間の今後の扱いは未定でした。過去には道路損壊による長期通行止めも発生しています。そして2024年7月16日、長らく課題となっていたこの旧道の一部区間（仏通寺北側〜終点）は、県の告示により県道の指定を解除され、その歴史的な役割を終えました。

地理

広島県道50号本郷久井線は、その全線が広島県三原市内を通過する完結路線です。

主な交差道路としては、起点で交通量の多い国道2号および広島県道362号小泉本郷線と、終点で地域間の連絡に利用される国道486号とそれぞれ接続します。また、一部区間では広島県道344号大草三原線と経路を共有しています。

沿線には、JR山陽本線の本郷駅や、地域の教育を支える広島県立総合技術高等学校などがあります。さらに、歴史的な高山城跡、新緑や紅葉の名所としても知られる仏通寺、自然豊かな高坂自然休養村、そして荘厳な昇雲の滝など、地域の歴史や豊かな自然、観光資源へのアクセス路としても重要な役割を果たしています。特に仏通寺へのアクセスは、バイパスの整備・開通によって格段に向上しました。

まとめ

広島県道50号本郷久井線は、三原市内の本郷地区と久井町を結ぶ主要幹線道路であり、地域の交通網の要を担っています。現道の整備やバイパス開通による利便性向上と、かつて存在した難所としての旧道という二面性を持つ歴史を経て、地域の生活や経済、観光の発展に貢献する重要な路線です。

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