広島県道55号尾道三原線

概要

広島県道55号尾道三原線は、瀬戸内海沿いに位置する広島県尾道市と三原市を結ぶ重要な幹線道路であり、主要地方道に指定されています。この路線の起点は、尾道市美ノ郷町本郷に位置する三原分かれ交差点で、ここでは国道184号と接続しています。そこから概ね東方向へと進み、終点となるのは三原市城町1丁目にある城町南交差点です。この交差点は国道185号との交点にあたります。総延長はおよそ11.0キロメートルであり、その全区間が尾道市および三原市の市域内を通過しています。

歴史

本路線が主要地方道として国の指定を受けたのは、1993年（平成5年）5月11日のことです。これにより、地域における重要な交通路としての位置づけが明確になりました。その後、道路の管理体制に関して大きな変更がありました。2008年（平成20年）6月1日より、それまで広島県が管理していた本路線の尾道市および三原市の区間における管理権限が、それぞれの自治体である尾道市と三原市に移譲されました。この権限移譲により、地域の実情に合わせたきめ細やかな維持管理が可能となっています。

路線状況と歴史的背景

県道55号尾道三原線は、両市を結ぶ日常的な交通路として機能しており、沿線では路線バスも運行され、地域住民の重要な移動手段の一つとなっています。また、この道路は単に現代の交通網としての側面だけでなく、歴史的な背景も持ち合わせています。特に注目されるのは、かつての中世山陽道との関連性です。中世の山陽道は、時代や情勢によってその経路が変化しましたが、県道55号のルートは、1602年（慶長7年）に今津駅が新設され、さらに1659年（万治2年）に備後福山藩が高須村に新涯（現在の尾道市高須町付近の干拓地）を造成したことを機に、山陽道の経路が海岸沿いを経由して尾道市街を通るルートに変更される以前の、より内陸を通っていた旧道筋に比較的近いとされています。この旧道筋に関連する伝承として、豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に九州へ向かう途中、木頃中野村（現在の尾道市美ノ郷町の一部）に立ち寄って梨を食べたという話が残されており、この地域の歴史的な重要性を示唆しています。

地理と沿線施設

本路線が通過するのは尾道市と三原市の二市です。沿線には、地域社会の基盤となる様々な施設が点在しています。教育施設としては、尾道市立美木原小学校、三原市立深小学校、三原市立中之町小学校といった公立小学校のほか、私立の如水館中学校・高等学校も位置しています。また、地域の治安維持拠点として、三原警察署中之町警察官駐在所が置かれています。その他、広島県立三原東高等学校や「太郎谷」と呼ばれる地域も沿線に含まれます。そして、路線の終点に近づくと、JR西日本の山陽本線および山陽新幹線の三原駅があります。三原駅は市の玄関口として機能しており、本路線は駅へのアクセス路としても重要な役割を担っています。

本路線は、交通網の結節点としても機能しています。鉄道では、山陽新幹線と山陽本線が立体交差しており、広域鉄道ネットワークとの接点となっています。道路においては、起点で国道184号と、終点で国道185号といった主要な国道と接続し、地域内外へのスムーズな移動を可能にしています。

管理体制

現在、広島県道55号尾道三原線は、その区間によって管理主体が異なります。尾道市内の区間については、尾道市役所の建設部維持修繕課が道路の維持管理を担当しています。一方、三原市内の区間に関しては、三原市役所の建設部土木整備課がその管理を行っています。各市がそれぞれの市域内の県道を直接管理することで、地域に根ざした効率的な道路管理が実現されています。

広島県道55号尾道三原線