広島藩の庭園

広島藩の庭園

日本の歴史的な文化を色濃く残す広島藩の庭園は、藩政時代に築かれた美しい風景と情緒溢れる空間が特徴です。広島城下やその周辺には、藩主や重臣によって造られた庭園が数多く存在しました。その中で、現在に残る唯一の名園である縮景園を中心に、他の歴史的な庭園についても見ていきましょう。

縮景園

縮景園は、広島藩によって計画された回遊式庭園で、292年前の1645年（寛永22年）に完成しました。この庭園は、雄大な自然の風景を小さく再現することを意図して設計されており、池や小道を手を組み合わせた美しい景観が特徴です。四季折々の花々が咲き誇り、訪れる人々に癒しを与えています。

萬象園

萬象園は、広島城下の水主町新開に位置し、1657年に広島藩の家老、三原浅野家によって造営されました。この庭園は、近隣の縮景園に次ぐ名園と称され、文人・頼山陽による命名がなされました。1960年に日本電信電話公社により福利厚生施設として利用されましたが、2002年に閉園。現在は高齢者複合施設「広島萬象園」が建設され、いくつかの歴史的な石が保存されています。

与楽園

与楽園は、1801年に藩主・浅野重晟によって造られ、1826年に完成しました。隣接する広島藩中屋敷と共に、藩主の別邸として機能していました。明治時代には県立病院の庭園となり、原爆の影響で大きな被害を受けました。その後も名残が残り、アステールプラザの建設に伴い、与楽園の名は中島小学校の理科園として引き継がれています。

萬春園

萬春園は、藩家老・上田氏によって造営された庭園で、船入村神崎堤に位置していました。「山水軒」と呼ばれる施設が特に有名です。

春和園

春和園は、国泰寺村真菰に存在していた庭園で、1844年に藩主から執政に下賜されました。日清戦争の際には宿泊所とされ、その後市公会堂が建設される等、歴史的な背景を持っています。しかし、第二次世界大戦中に取り壊されました。

翠江園

翠江園は、現在の西区古江に位置し、有名な名所でありました。藩家老の浅野直道によって造営されたこの庭園は、広島湾を一望できる美しい景観を持っていましたが、廃藩後は荒廃してしまいました。現在はその跡地に広島学院中学校・高等学校が立地し、「翠江会」というPTAの名称につながっています。

このように、広島藩の庭園は歴史的な背景を持ち、かつての美しい風景を後世に伝えていく貴重な文化遺産です。解説を通じて、その豊かな歴史と、数々の庭園の魅力を知ることができるでしょう。

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