広島赤十字・原爆病院メモリアルパーク

広島赤十字・原爆病院メモリアルパークについて

広島赤十字・原爆病院メモリアルパークは、広島市中区千田に位置する、日本赤十字社広島支部敷地内にある公園です。この公園は、広島赤十字・原爆病院の改修に伴い、病院敷地内にあった原爆関連のモニュメントを移設・整備したものです。常時開放されており、平和教育の場としても利用されています。

公園の構成

面積640平方メートルの園内には、被爆した旧日赤病院の窓枠や、被爆の傷跡が残る壁などの遺構が保存されています。これらの遺構は、原爆の恐ろしさを後世に伝えるとともに、平和への祈りを象徴するものです。

主なモニュメントは以下の通りです。

旧病院の被爆遺構
被爆遺跡（歪んだ窓枠）：旧本館の窓枠
モニュメント（壁）：旧1号館階段室の窓ガラスによる傷跡
原爆殉職職員慰霊碑：1959年建立。レオポルド・ボアシェ氏による碑文。
原爆殉職職員並びに戦時事変戦歿者合祀「平和への祈り」：1995年、被爆50年を機に建立
マルセル・ジュノー博士の碑：ジュノー博士記念碑建立会により建立
原爆の絵碑第9号碑：2005年、被爆者の絵を街角に返す会により建立
献身の人天野美紀枝さんを偲んで・碑：全日空羽田沖墜落事故で亡くなった客室乗務員の碑
* 広島赤十字看護専門学校記念碑：2014年建立。2002年に閉校。

広島赤十字・原爆病院の沿革

広島博愛病院の設立

1886年、軍医長瀬時衡らの尽力により「広島博愛病院」が開院しました。これは、日本赤十字社医療センターよりも前に開院した病院です。病院を経営的に支える「広島博愛社」も設立されました。1888年には、ジュネーブ条約調印に伴い、広島博愛社は日本赤十字社広島支部に改称しました。1893年には、全国に先駆けて看護婦養成を開始しました。

日赤病院建設の経緯

日清戦争を契機に、日赤は全国に病院建設を計画しました。1901年、日赤広島は国泰寺村に土地を取得しましたが、日露戦争の影響で建設は一時中断。1933年頃に計画が再開され、満州事変の影響や地元からの要望を受け、病院建設が進められました。1939年、「日本赤十字社広島支部病院」として開業しました。

戦中医療と被爆

開院当初から、日赤病院は陸軍の補助機関として機能し、入院患者はすべて軍人でした。医師・看護師は不足しており、看護婦生徒がそれを補っていました。1945年8月6日、広島赤十字病院は原爆によって被爆し、甚大な被害を受けました。

被爆後の活動

支部事務所は壊滅し、病院も大きな被害を受けました。しかし、生き残った医師や看護師、看護婦生徒たちは直ちに救護活動を開始しました。近隣の病院が壊滅状態だったため、日赤病院は市街地の医療拠点として重要な役割を果たしました。被爆後、多くの救護班が駆けつけ、医療活動を続けました。

原爆病院の設立

被爆者医療の必要性が高まる中、1956年、「日本赤十字社広島原爆病院」が開院しました。原爆病院は、被爆者医療の中枢を担い、時には採算を度外視した医療活動を行いました。1988年には、日赤病院との経営統合により「広島赤十字・原爆病院」と改称されました。

モニュメント化の経緯

1989年、旧日赤病院の取り壊し計画が発表されると、市民団体による保存運動が起こりました。日赤は当初、部分保存の方針を示しましたが、市民団体の活動と広島市の支援により、旧日赤病院の遺構はモニュメントとして保存されました。その後、病院の改修に伴い、モニュメントは日赤広島支部敷地内に移設され、2013年に「広島赤十字・原爆病院メモリアルパーク」として整備されました。

アクセス

メモリアルパークへは、広島電鉄宇品線「日赤病院前」停留場または「鷹野橋」停留場から徒歩でアクセスできます。バスを利用する場合は、広島バス50号線または21号線で「日赤前」バス停で下車してください。駐車場もあります。

メモリアルパークの意義

広島赤十字・原爆病院メモリアルパークは、過去の悲劇を伝えるだけでなく、平和への希望を育む場所でもあります。被爆の記憶を次世代に継承し、平和な社会の実現に向けて貢献していくことでしょう。

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