広永益隆

広永益隆：記憶に残るメモリアル男

広永益隆（ひろなが やすたか、1968年3月5日 - ）は、徳島県徳島市出身の元プロ野球選手（外野手）です。右投左打で、その野球人生は数々の記録と記憶に残る出来事で彩られています。

高校時代とドラフト指名

徳島県立徳島商業高等学校時代には、「四国屈指のスラッガー」として名を馳せ、2年春から甲子園に4季連続出場を果たしました。2年時は3番・右翼手、3年時には3番・投手として甲子園のマウンドにも立っています。1985年のドラフト会議で、南海ホークスから3位指名を受け、プロ野球の世界へ足を踏み入れました。

プロ入りからダイエー時代

外野手として指名されたため、入団後は野手に専念。南海ホークス時代の3年間は一軍昇格の機会に恵まれませんでした。しかし、球団名が福岡ダイエーホークスに変わった1989年、プロ4年目にして初めて一軍に昇格します。

4月8日の日本ハムファイターズとの開幕戦（東京ドーム）で、1点ビハインドの5回表に代打として一軍公式戦初打席を迎えると、西崎幸広から逆転の3点本塁打を放ちました。この一打は、ダイエー球団公式戦史上第1号、平成のパ・リーグ第1号、そして日本プロ野球史上初の開幕戦での一軍公式戦初打席本塁打という記録となりました。以降も、代打を中心に勝負強さと長打力を発揮しました。

1990年には、規定打席には届かなかったものの打率.313を記録。9月26日のオリックス戦（西宮）では、山沖之彦から日本プロ野球通算6万号本塁打を放ちました。

1992年6月6日の西武戦（西武球場）では、パ・リーグ通算3万号本塁打を潮崎哲也からマーク。同年限りで平和台球場から福岡ドームへの移転が決まっていたため、10月1日の近鉄戦で野茂英雄から放ったソロ本塁打が、平和台球場でのプロ野球公式戦最後の本塁打となりました。

ヤクルト、オリックス時代

広い福岡ドームに移転した1993年は本塁打を放つことができませんでしたが、1994年シーズン途中に金銭トレードでヤクルトスワローズへ移籍。1995年には代打として、2年ぶりのリーグ優勝・日本一に貢献しました。4月20日の読売ジャイアンツ戦（神宮）では、延長10回裏に木田優夫から代打サヨナラ本塁打を放ちました。

1997年シーズン途中には、馬場敏史・岩崎久則との交換トレードで小倉恒とともにオリックス・ブルーウェーブへ移籍。

1998年7月7日のロッテ戦（グリーンスタジアム神戸）では、延長12回裏に五十嵐章人の代打として登場した藤本博史の代打（代打の代打）として起用されると、近藤芳久からサヨナラ満塁本塁打を放ちました。この試合まで16連敗中だったロッテの連敗記録を17に伸ばす一打となり、広永自身もNPB史上2人目の両リーグ代打サヨナラ本塁打記録者となりました。さらに、代打の代打によるサヨナラ本塁打はパ・リーグ初という珍しい記録も打ち立てました。

引退後

1999年に現役を引退後は、マスターズリーグの初年度に福岡ドンタクズに参加。2005年には、アークバリアドリームクラブの初代総監督を務めました。現在は、地元の少年野球チームを指導する傍ら、徳島県内のバッティングセンターで野球教室を開いています。

広永益隆は、通算34本塁打ながら、その多くが節目の記録や珍しい記録を伴うものでした。「メモリアル男」、「記憶より記録に残る男」として、プロ野球史にその名を刻んでいます。

記録

初出場：1989年4月8日、対日本ハムファイターズ戦（東京ドーム）
初打席・初安打・初本塁打・初打点：同上、西崎幸広から右越逆転3ラン
代打本塁打：14本（史上7位）
福岡ダイエーホークス球団第1号本塁打
パ・リーグ平成第1号本塁打
開幕戦プロ初打席本塁打
日本プロ野球通算6万号本塁打
パ・リーグ通算3万号本塁打
平和台球場公式最終戦本塁打
代打サヨナラ満塁本塁打
代打の代打でサヨナラ本塁打：パ・リーグ史上初
両リーグ代打サヨナラ本塁打：史上2人目

背番号

47（1986年 - 1994年途中）
49（1994年途中 - 1997年途中）
* 00（1997年途中 - 1999年）

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