広瀬習一

広瀬習一の軌跡

広瀬習一（ひろせ しゅういち）は、1922年に滋賀県で生まれ、戦前のプロ野球選手として巨人軍で活躍した投手です。彼の波乱に満ちた人生と卓越した野球スキルについて振り返ります。

早期のスポーツへの関心

広瀬は1934年、12歳の時に琵琶湖を横断する遠泳大会で14㎞を泳ぎ切り、大きな注目を集めました。この経験は彼のスポーツに対する情熱の始まりとなります。1935年には大津商業に入学し、野球部に参加。1938年、彼は外野手として夏の甲子園県予選に出場しましたが、準決勝で膳所中学に敗れました。

翌1939年には京滋中等対抗野球大会において、前年の甲子園の勝者である平安中学を破り、大津商業を春の甲子園大会に導きました。しかし、甲子園での初戦では小倉工業に敗れ、チーム成績の影響を受けつつも、その後投手としての力を発揮することになります。

プロ baseball への道

卒業間近、有名な東京巨人軍の監督・藤本定義が大津商業を訪れましたが、入団の話は野球部長の反対により実現しませんでした。1960年には地元企業の旭ベンベルグに入社し、野球部にも参加。その後、都市対抗野球の近畿地区予選で敗退したことから、巨人軍へ入団テストを受ける決心をします。

彼の投球が注目され、1941年には巨人に入団、その年の8月21日、黒鷲軍戦で初登板を果たします。この試合では、3安打完封という素晴らしいスタートを切りました。秋季リーグでの成績も素晴らしく、8勝を記録。投球フォームは他に例を見ない独自のもので、テンポの良い投球が特徴的でした。

戦争とその影響

しかし、広瀬のキャリアは長くは続きませんでした。1942年には開幕戦で完封勝利を挙げるものの、その後虫垂炎に罹り、手術を受けます。戦時中の物資不足のため、術後の回復が難航し、彼の選手生活も厳しい局面を迎えました。結局、1943年に陸軍に入隊し、フィリピンでの任務に従事します。

戦死とその後

広瀬は1944年9月13日、フィリピンのレイテ島で戦死しました。享年22歳という若さでの死は、彼の卓越した才能と未来への可能性を同時に失ったことを意味しました。彼の名前が東京ドームに刻まれていることや、大津市にある墓碑は、彼を讃える証となっています。

野球選手としてのスタイル

広瀬は自己流の投球フォームを持ち、強い手首を活かしたスナップスローが特徴です。シュートを武器にしており、他にもドロップやスライダー、シンカーを使い分けました。彼の投球スタイルは独特で、速球が打者の手元でホップするような威力がありました。

人物としての側面

広瀬は、明るくユーモア溢れる性格で知られていました。自身の顔の長さをネタにして「馬」とあだ名を付けられ、仲間の笑いを取ることが多かったそうです。彼は謡曲や将棋など、多才な趣味を持ち、チームメイトとの交流を楽しんでいました。

結論

広瀬習一は、プロ野球界における短いながらも印象深い存在でした。彼の情熱と才能、さらに戦争によって絶たれた若き命の物語は、今もなお多くのファンの心に残り続けています。

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