広甲 (巡洋艦)

広甲（こうこう）: 清国海軍の巡洋艦

広甲は、清国海軍に属する巡洋艦として知られています。元々は広東水師に配属されていましたが、1894年に広甲は、同じく北洋水師に編入された「広乙」、「広丙」と共に、その後の海戦に挑むこととなります。この艦は特に黄海海戦での出来事によって有名です。

黄海海戦と逃亡

1894年9月17日に発生した黄海海戦では、広甲は北洋水師の艦隊に参加しました。しかし、戦闘中に艦の指揮官が示していた戦術に従わず、他の艦艇と共に戦場から逃走してしまいました。この行動は、近代の海戦では極めて例外的なものであり、軍艦が敵前から逃走するという非常に稀な事件として今も語り継がれています。広甲とともに逃げた「済遠」は、大連湾で座礁し、その後放棄されました。

この艦の逃亡は、戦争の戦略や艦隊の士気に大きな影響を与え、また清国海軍の信頼性にも疑問を投げかける結果となりました。海戦におけるこの艦の選択は、指揮官の判断力や艦隊全体の対応力について多くの議論を生む要因となりました。

歴史的な影響

広甲の逃亡事件は、海軍軍艦の行動規範や指揮系統についての認識を再考させるものとなりました。この一件は後の海軍戦策や訓練方法に影響を与える結果となり、同時に清国海軍の信頼性が問われる契機ともなりました。

また、逃亡によって新任の下士官である黎元洪は九死に一生を得ることになりました。彼は後に武昌蜂起事件に関わり、中華民国の第2代と第4代の大総統に就任することになります。広甲の逃亡は彼のキャリアにも大きな影響を与え、その後の歴史においても重要な位置を占めることが分かります。

文献参照

広甲に関する情報は、Richard N. J. Wrightの『The Chinese Steam Navy 1862-1945』や、Roger ChesneauとEugene M. Kolesnikによる編集作業『All The World's Fighting Ships 1860-1905』に詳述されています。これらの著作は、清国海軍やその艦船の歴史を知る上で重要な文献とされています。

このように、広甲の逸話は単なる海戦の出来事を超えて、清国の歴史や軍事戦略、そしてその後の政治的な展開にまで影響を及ぼすものとなっています。巡洋艦である広甲が残した歴史は決して忘れられることはなく、航空戦や現代の海軍戦術へと続く新たな教訓を与え続けているのです。

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